研究課題/領域番号 |
25560217
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
巽 英介 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00216996)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 流路調節 / 植込式 / 連続流型 / 補助人工心臓 / 完全遮断 / 小型 |
研究実績の概要 |
昨年までの検討にて,選出したチューブクランプ鉗子,ホフマンクランプおよび平面4節リンク機構(板状の部材で流路を挟む機構)およびホースタイ(ベルト状の部材で流路外径を絞る機構)の内,板状の部材で流路を挟む3つの機構による遮断が,人工血管グラフト内の流れを完全に止めるのに有効であることが明らかとなった. 本年度は,これら流路調節機構の臨床使用上の問題点についても検討を行った.まず,本システムは植込み式を目指していることから,解剖学的な圧迫等の障害を最小限に抑えるべく,小さなサイズが望まれる.チューブクランプ鉗子や平面4節リンク機構では,流路を挟む部材に加えて,締め付け力を伝えるための節が締付け部と同等以上のサイズを要し,かつ動作範囲も節のサイズに応じて必要となる.そのため,締め付け力を伝える節を必要としないネジ締め付け方式のホフマンクランプやバンドにより絞る方式のホースタイが,サイズの面から有効と考えられた. 次に,完全遮断時における人工血管グラフトへの障害ついて基礎的な実験を行った.ホースタイは流路外径を絞る過程で,人工血管グラフトに非可逆的な変形を及ぼすことが判明した.一方,板状の部材で流路を挟む3つの機構では,人工血管グラフトへの障害は認められなかった. 以上より,植込式の流路調節装置に適した流路調節機能とサイズを併せ持つ機構として,人工血管を平行して挟む2本の支柱と,その支柱に沿ってスライド移動する押しつけ用と受け用の2枚の平行な薄版から成る,ホフマンクランプ型の機構を採用することとした. 国内でも植込み式の連続流型補助人工心臓に採用されている,内径Φ14 mm規格のePTFEリングドゴアテックス人工血管グラフトを対象として,締め付けストローク方向(高さ)×幅を26.5×35.8 mm 人工血管軸方向の厚み15.1 mmの小型の流路調節機構の機械的設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年,植込み式の連続流型補助人工心臓システムに用いられている送血管用人工血管グラフトを対象に行った機能評価に引き続き,植込みに適したサイズ,完全遮断時の人工血管グラフトに与える障害の有無の面から流路調節機構の比較検討を行った.その結果,人工血管を並行して挟む2本の支柱とその支柱に沿ってスライド移動する平行な二枚の締付け用板から成る機構を採用した.昨年の検討に用いた人工血管グラフトを対象に,本機構からなる締付け装置の機械的な設計を行った.一方,プロトタイプの試作には至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査および選出した機構から成る設計に基づき,植込式の流路調節装置に適した流路調節機能とサイズを併せ持ち,モータによる締付け調節が可能なプロトタイプの試作に取り組む.機構の選定時に行った基礎的な試験,および急性動物実験によるプロトタイプ装置の評価を行い,計画目標達成を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,実験に使用する器具等の物品費や謝金の予定額を要することなく,計画を十分に達成し得たため,当該助成金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,さらなる進捗の効率化を目指して,機器の試作および実験に関わる物品や,成果発表のための旅費に費用をあてる予定である.
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