研究課題
昨年までの基礎検討および設計を進めた小型の流路調節機構の対象として選定したePTFEリングドゴアテックス人工血管グラフトを有する本邦の植込み式連続流型補助人工心臓システム(EVAHEART)を用いて,急性動物実験による検討を行った.成ヤギ(53.2 kg)に対して左室心尖脱血-大動脈送血の左心バイパスによるLVADを施行した.同時に,心不全モデルを作成することで,左心補助を必要とする状態から,左心補助を停止して逆流した場合(大動脈弁閉鎖不全と同様)および即時完全遮断した場合による影響を評価した.左心房に設けたラインからエスモロールを2 mg/kg投与した後,持続投与量を調節することにより,平均動脈圧70 mmHg以下,肺動脈流量(全身循環血流量)の心不全作成前比75%以下となる心不全状態を維持した.バイパス率100%の左心補助時には,心不全作成前比78%の肺動脈流量,平均動脈圧52 mmHg,冠動脈流量46 mL/min,静脈酸素飽和度65.9%であった.左心補助停止に伴う逆流発生後5 minの場合,心不全作成前比21%の肺動脈流量,平均動脈圧26 mmHg,冠動脈流量8 mL/min,静脈酸素飽和度は25.7%と,著しい状態の悪化が認められた.一方,送血側人工血管グラフトを遮断(バイパス率0%)後5 minの場合,心不全作成前比57%の肺動脈流量,平均動脈圧は46 mmHg,冠動脈流量39 mL/min,静脈酸素飽和度56.3%と,補助停止による影響が認められたが,逆流時の様な重篤な悪化を防ぐことが可能であった.
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Artif Organs
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10.1111/aor.12666.
Eur J Cardiothorac Surg
巻: 48 ページ: 98-103
10.1093/ejcts/ezu364