研究課題/領域番号 |
25560221
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 雅哉 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (10332735)
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研究分担者 |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノテクノロジー / 微細加工 / 血管新生 / 細胞動員 / 血管吻合 |
研究概要 |
本研究では、研究項目①生体内で位置を決めて血管新生を誘導する技術、および研究項目②新生血管へ向けて、細胞構築物から血管をつくる細胞を動員する技術、以上2つの技術開発を目指している。それぞれの研究項目に対する平成25年度の研究実績の概要は、以下の通りである。 研究項目①として、血管新生因子を徐放化するためのナノ粒子の作製を行った。具体的には、コアセルべーション法により、ゼラチンを架橋したナノ粒子を得た。架橋条件を変化させることにより、異なる生体吸収性をもつナノ粒子を作製することができた。現在、これらのナノ粒子からの血管新生因子(VEGFなど)や細胞動員因子(SDF-1αなど)の徐放性、ならびにマウスの大腿筋内における血管新生について検討中である。 研究項目②として、アルギン酸ナトリウムゲル内にカルシウムイオンを拡散させる架橋法により、直径約200~300μmの流路を作製し、培養した血管内皮細胞を播種することにより、毛細血管を組み込んだ細胞構築物を作製した。流路への血管内皮細胞の播種密度、播種方法、ならびに拍動流を用いた循環培養法により、生体内に近い環境での血管内皮細胞の培養法を検討した。また、生体内での血管新生をイメージングする技術として、蛍光顕微鏡、ならびにMRIでの観察が可能なプラスチック製の治具を開発し、マウス背部皮下において血管新生を可視化できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度では、ナノピラーへコーティングするための血管新生因子や細胞動員因子を含浸させた生体吸収性ナノ粒子の開発とその血管新生効果の確認、血管新生のイメージング技術の開発、ならびに毛細血管を組み込んだ組織構築物を作製することを当初の研究目標とした。研究実績の概要で述べたとおり、コアセルべーション法により直径数百 nm程度のナノ粒子を生体吸収性高分子の一つであるゼラチンから作製することに成功し、その生体吸収性を変化させることもできた。また、血管新生をイメージングする手法の開発や毛細血管を組み込んだ組織構築物の作製にも着手し、一定の研究成果を得ている。また、ナノピラーについては、既存のナノピラーを流用することができるため、平成25年度に開発した技術を組み合わせて平成26年度の研究計画を遂行することにより、当初の最終的な研究目的であるナノ血管吻合への挑戦が可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果をふまえ、平成26年度の研究は、研究項目別に以下の通り計画している。 研究項目①生体内で位置を決めて血管新生を誘導する技術 (1)血管新生ならびに細胞動員を効率よく誘導するために、ナノ粒子の生体吸収性を最適化する。 研究項目②新生血管へ向けて、細胞構築物から血管をつくる細胞を動員する技術 (1)最適化されたナノ粒子とナノピラーとを組み合わせて、誘導された新生血管のパターンと同じパターンで構築した毛細血管をもつ細胞構築物を、誘導した新生血管部位へ重ね、細胞動員因子を作用させることにより、毛細血管の結合を促す。 (2)蛍光標識レクチンなど、血管特異的に結合する蛍光物質を静脈投与して、細胞構築物の毛細血管が染色されるかどうかを確かめることにより、血流を可視化する。これにより、ナノ血管吻合の可否を明らかにする。
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