研究課題
本研究では、Sonochemical internalization (SCI) 法という「細胞質内への物質導入を超音波で誘導する方法」を提案し、開発に取り組んだ。 近年、Cell-penetrating peptide (CPP)を付加した蛋白質(及びその他の物質)の細胞内導入が盛んに行われている。 しかしながら、CPP融合蛋白質はエンドサイトーシスで細胞内に入るもののエンドソーム内に集積してしまい、機能が現れないことも多い。 そのようなCPP融合蛋白質をエンドソームから出すための起爆剤として「超音波に応答して活性酸素種を出す音増感剤」の利用を検討した。まず、超音波照射時にROS生成を介してエンドソーム破壊を引き起こすような音増感剤を探した。市販の有機色素の中から探し出し結果、超音波照射時にROSの生成を引き起こす色素が複数見つかった。また、蛋白質に付加可能な(マレイミド基を持つ)音増感剤の合成を行った。続いて、細胞内侵入性かつエンドソーム局在性の蛋白質に、音増感剤を付加したものを作製した。具体的には、CPP融合型RNAキャリア蛋白質およびCPP融合型アポトーシス誘導蛋白質に音増感剤の付けたものを作製した。これらを培養細胞に投与した後、超音波照射を行った。照射強度と照射時間を変えて検討を行い、強い照射条件において僅かではあるが、複合体分子を超音波依存的にエンドソームを脱出させ細胞質へと運ぶことに成功した。以上によりSCI法という新手法が使える可能性が見えてきた。今後、さらに音増感剤の種類の検討や導入条件の検討によりSCI法による導入効率を高めたい。
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Chemical Communications
巻: 51 ページ: 413-416
10.1039/c4cc07459a