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2013 年度 実施状況報告書

クロマチン構造制御によるエピゲノム創薬の創製

研究課題

研究課題/領域番号 25560227
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関首都大学東京

研究代表者

川上 浩良  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10221897)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードエピジェネティクス / クロマチン / エピゲノム創薬 / 細胞分化治療
研究概要

エピゲノムによる遺伝子制御は、DNAメチル化とヒストン修飾に伴うクロマチン構造変化が各階層で協調的に惹起させることにより引き起こされる。塩基配列に依存しないエピゲノムを人為的に制御できれば、全く新しいエピゲノム創薬によるガンや慢性疾患(動脈硬化、糖尿病、神経疾患、自己免疫疾患など)の予防・診断・治療法に資する画期的な基盤技術の創出に繋がる。
本研究では先ず、クロマチンの構造制御を支配するDNAメチル化とヒストン修飾を工学的手法で行うことにより、新しい遺伝子工学に基づくエピゲノム創薬の創製を目指す。さらに、細胞の分化過程に関与するエピゲノム因子を明らかにすることにより、組織指向的に細胞を分化誘導するエピゲノムの工学的な制御を行い、エピケゲノム創薬を用いた細胞分化治療やダイレクトリプログラミング治療による人為的操作に基づく革新的な細胞治療の開発も試みる。
本年度は、エピジェネティクス修飾を工学的に制御するため、エピジェネティクス修飾酵素を発現するプラスミドDNAと、当該修飾の逆反応を行う酵素の阻害剤を同時封入可能な新規生分解性ナノ粒子によるエピジェネティクス修飾制御法を検討した。また、その生分解性ナノ粒子を用いたエピジェネティクス修飾の工学的制御により、がん細胞であるヒト骨髄性白血病細胞(HL60)から顆粒球への分化誘導を試みた。さらに、生分解性ナノ粒子を用いてヒストンアセチル化とヒストンメチル化の同時制御も試みたので報告する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規生分解性ナノ粒子は、ポリ乳酸(PLA)・カチオン性脂質・プラスミドDNA・阻害剤を用いて調製した。ヒストンアセチル化を制御する際には、ヒストンアセチル化酵素(CAF)をコードしたプラスミドDNAとヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)を使用した。ヒストンアセチル化とヒストンメチル化を同時制御する際には、ヒストンメチル化酵素(MLL5)をコードしたプラスミドとTSAを用いた。次に、その生分解性ナノ粒子を投与したヒト骨髄性白血病細胞(HL60)細胞におけるヒストン修飾評価は、ウエスタンブロット法により行った。顆粒球への分化率評価はNBT染色により行った。
その結果、CAFとTSAを封入した生分解性ナノ粒子を添加したHL60細胞におけるアセチル化ヒストン量は、コントロールと比較して向上していた。同様に、MLL5とTSAを封入した生分解性ナノ粒子を添加した場合には、コントロールと比較してアセチル化量、メチル化量ともに上昇していた。さらに、生分解性ナノ粒子を投与した細胞は、コントロールの細胞よりも高い分化率を示した。分化率の傾向は日数を追うごとに向上していた。この結果は、生分解性ナノ粒子の持つ生分解性により薬剤が徐放されることによると考えられる。

今後の研究の推進方策

(1)細胞分化治療の評価:エピゲノムを利用した、ガン細胞(HL60の顆粒球の分化)の細胞分化治療、膵β細 胞の細胞分化誘導による糖尿病治療について検討する。
(2)キャリアの細胞内動態:H25年度に選定したキャリアの細胞内局在(核移行性)を共焦点レーザー顕微鏡 により、核内クロマチン弛緩状態をリアルタイムPCR(EpiQ Analysis法)により評価する。これら結果をフィードバックし、キャリアの構造最適化を行う。
(3)拡張型心筋症モデルマウスへのダイレクトリプログラミング治療評価:H25年度に作製した拡張型心筋症 マウス(高DNAメチル化)を用い、最終的にはin vivoキャリアによる動物実験を実施したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] エピジェネティクス修飾を標的とした新規生分解性ナノ粒子による細胞分化治療2013

    • 著者名/発表者名
      浅羽 祐太郎, 朝山 章一郎, 中林 一彦, 川上 浩良
    • 学会等名
      第62回高分子討論会
    • 発表場所
      石川 (金沢大学)
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] 新規生分解性ナノ粒子を用いた遺伝子・阻害剤同時導入によるエピジェネティクス制御2013

    • 著者名/発表者名
      浅羽 祐太郎, 朝山 章一郎, 中林 一彦, 川上 浩良
    • 学会等名
      第62回高分子討論会
    • 発表場所
      石川 (金沢大学)
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] ヒストンを標的とした新規生分解性ナノ粒子による細胞分化治療2013

    • 著者名/発表者名
      浅羽 祐太郎, 朝山 章一郎, 川上 浩良
    • 学会等名
      第7回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      奈良 (奈良県新公会堂)
    • 年月日
      20130530-20130531
  • [学会発表] 核指向性ポリアニオンによるクロマチン構造の工学的弛緩2013

    • 著者名/発表者名
      小鯖 翔, 朝山 章一郎, 中林 一彦, 川上 浩良
    • 学会等名
      第7回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      奈良 (奈良県新公会堂)
    • 年月日
      20130530-20130531

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公開日: 2015-05-28  

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