エピゲノムの転写は、クロマチン構造(ヘテロクロマチン構造(転写ON)とユークロマチン構造(転写OFF))により決まる。具体的には、転写ONはDNA脱メチル化、ヒストンアセチル化等により導かれ、転写OFFはDNAメチル化、ヒストン脱アセチル化等により決定される。つまり従来の遺伝子治療とは全く異なり、塩基配列を伴わずにクロマチン構造を人為的に制御できれば、遺伝情報を操作することができるようになる。具体的には以下の結果を得た。 エピゲノムを利用した、ガン細胞(HL60の顆粒球の分化)の細胞分化治療を検討し分化に成功した。特に、本研究ではエピジェネティクスを任意に制御できるキャリアを合成、そのキャリアを用いることにより分化に不可欠なヒストンアセチル化の発現量の増加とその長期間の持続的な発現が可能であることを明らかにした。その結果、細胞分化率は時間とともに向上し、これまでにない細胞分化の高効率化に成功した。
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