研究課題/領域番号 |
25560228
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
野水 基義 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00311522)
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研究分担者 |
保住 建太郎 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10453804)
吉川 大和 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20274227)
片桐 文彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60420642)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 基底膜 / ラミニン / ペプチド / キトサン / 細胞接着 / インテグリン / シンデカン |
研究概要 |
我々は個体の発生や修復の細胞外環境となる基底膜に注目し、基底膜の主役的タンパク質であるラミニンを約3000種類の合成ペプチドを用いて分子解剖し、多くの活性ペプチドを同定してきた。本研究では、我々が同定した活性ペプチドを、レセプター特異性や生物活性の違いによって分類し、その中から顕著な活性を持つエッセンシャルペプチドを選び、それらを組み合わせて多糖マトリックスに組み込むことにより、細胞特異的なエッセンシャルペプチド-マトリックス(EP-Matrix)を創製することを目的としている。 平成25年度は、我々が同定したレセプターの異なるラミニン活性ペプチドを高分子多糖のキトサンに固定化したシングルペプチドMatrixを作成し、線維芽細胞と神経細胞を用い、細胞特異的に機能するエッセンシャルなペプチドMatrixを抽出する1st ステップの完結を目的に研究を行った。これまでに、インテグリンα2β1、インテグリンα6β1、インテグリンαvβ3、シンデカンに結合するペプチドのエッセンシャルペプチド-マトリックスを特定することができた。現在、インテグリンα3β1、シンデカンとインテグリンβ1に結合するEP-Matrixを特定中である。これらの実験を遂行する過程において、今まではスペーサーとしてグリシン2残基を用いてきたが、スペーサーの長さの違いによる活性の変化が認められた。そこで、代表的なインテグリンα2β1、インテグリンα6β1、インテグリンαvβ3、シンデカンに結合するペプチドをスペーサーの種類や長さを変化させてキトサンに固定化し、細胞接着活性を測定中である。各ペプチドに最適なスペーサーを決定し、活性を示したエッセンシャルペプチドを混合してキトサンに固定化し、神経細胞に対しさらに高く機能するMatrixを作成する2ndステップに移行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今まで活性ペプチドとキトサンをつなぐスペーサーとしてグリシン2残基を用いて実験してきたが、スペーサーの長さの違いによりいくつかのペプチドの細胞接着活性に変化が認められた。このスペーサー効果はインテグリンに結合するペプチドで顕著であった。現在、スペーサー効果も合わせてエッセンシャルなペプチドMatrixを抽出する1st ステップの検討を行っているため、当初の予定よりやや遅れている。しかし、このスペーサー効果の解明は、本研究課題を遂行する上で重要な検討課題であり、本課題の飛躍的な発展につながるものである。
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今後の研究の推進方策 |
種々のスペーサーを用いて代表的なペプチド-キトサンマトリックスの細胞接着活性を測定中である。この結果は、6月に開催される第46回結合組織学会・61回日本マトリックス研究会合同学術集会(名古屋)で発表予定である。スペーサー効果を考慮して当初の予定通りの研究を推進する。すなわち、最適なスペーサーを用いてエッセンシャルペプチドを混合してキトサンに固定化し、神経細胞に対しさらに高く機能するMatrixを作成する2ndステップと、これらのペプチドの混合比を様々な割合で変化させることにより、目的とする神経細胞に対し最適に機能するエッセンシャルペプチドMatrix (EP-Matrix)を創製する3rdステップに進む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
スペーサー効果の検討を加えたため、研究計画より遅れている。そのため、種々の活性評価が本格的にできていない。また、スペーサー効果の検討は主に校費を用いて検討を行っている。 本研究課題に直結したメインとなる学会が隔年開催で次年度に開催されるため。 最適なスペーサーを用いたペプチド-キトサンマトリックスの作成のための合成費用と遅れている分の活性評価に使用する。 また、得られた成果のメインの学会での発表
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