本研究では、インスリンなど種々の生理活性因子を三次元的にパターン化した多孔質足場材料の開発を目的としている。
平成25年度は、パターン化多孔質足場材料を作製するため、下記の①~③の項目について検討した。 ①多孔質材料原料への生理活性因子の導入条件、②生理活性因子を導入した多孔質原料水溶液によるライン状パターンの描画条件、③多孔質原料水溶液とライン状パターンの生理活性因子の凍結条件である。①~③に続く工程である④凍結乾燥法による多孔質構造の形成、⑤架橋による多孔質構造の固定化については、まずはこれまでに申請者らが用いてきた方法をそのまま適用することにした。項目①において、生理活性因子の作用を持続させるためには、その導入方法を検討することが重要である。多種類の条件を検討する必要があると考え、生理活性因子としてVEGFよりも安価に入手できるインスリンを用いた。種々の仕込み量でインスリンを導入したコラーゲンスポンジを作製し、走査型顕微鏡により連通した空孔構造が観察された。②、③を検討するとともに、項目①の研究成果を論文にまとめた。
平成26年度は、パターン化材料を用いて細胞を培養した。空孔構造などパターン化多孔質足場材料のパラメータを種々の値に変えたものを作製した。作製したパターン化多孔質材料に細胞を播種し、細胞の接着、分布、増殖、および細胞生存性などを調べパターン構造の影響について明らかにした(現在、論文投稿準備中)。
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