研究課題/領域番号 |
25560235
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
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研究分担者 |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光音響イメージング / マクロファージ / 金ナノロッド / ニッケル |
研究概要 |
平成25年度には、細胞内の金属微粒子分布を観察できる空間分解能を有する光音響顕微鏡の構築に主眼を置いた研究を遂行した。波長532 nmおよび1064 nm、パルス幅1 ns、平均パルスエネルギー280~400 μJのマイクロチップレーザ光の焦点を絞って対象に照射するため、レーザから発振された空間光を拡張させるビームエキスパンダ、レーザ光を反射させるミラー、そして焦点を絞るための対物レンズでファントム表面に集光し、光音響信号の励起を行った。光音響信号の受信には、圧電セラミックス(PZT)製で中心周波数が8.26 MHzの平面超音波振動子を用い、この平面振動子の上にファントムを設置して光音響信号の発生を確認した。2個のリニアモータで平面振動子およびファントムを二次元走査し、3 mm×3 mmの領域を50×50ピクセルで画像化した。吸収波長が532 nmの金微粒子を塗布したファントムを本システムで観察したところ、金微粒子に一致した光音響信号を認めた。さらに、動脈硬化組織を観察したところ、プラーク内の血栓に一致して光音響信号を認めた。 一方、マクロファージへの金ナノロッド、銀、銅、ニッケル等の金属微粒子の取り込みについては、マクロファージ系の細胞株であるRAW細胞を用い、培養液中に蛍光色素で標識した金属微粒子を添加し、1時間以内に金属が細胞内へ取り込まれることを確認した。特にニッケルイオンについては、Toll like Receptor (TLR)4と結合することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画策定時とはデザインの違う光音響顕微鏡を構築したが、研究計画以上のパフォーマンスを有し、次年度以降の研究に直結する成果と考えている。また、マクロファージへの金属微粒子取り込みについても順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、平成26年度には人工皮膚に金属を貪食したマクロファージを三次元培養し、皮膚内にマクロファージが増殖した状態を再現する。生体組織内のイメージングに近い状況での本手法の有用性を確認するために、内部に金属微粒子が集簇した状態のマクロファージを人工皮膚のコラーゲンスポンジ中に三次元培養し、三次元超音波/光音響イメージングの手法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に構築予定だった532 nmと1064 nmの2種類の波長に対応した光学系のうち、532 nm用の光学系でのみを購入して実験を行ったために、次年度使用額が生じた。 1064 nm用の光学系について、すでに設計が終わっており、平成26年度の早期に執行予定である。
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