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2013 年度 実施状況報告書

血液脳関門標的化バブルリポソームによる脳実質組織への超音波核酸デリバリーシステム

研究課題

研究課題/領域番号 25560240
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京薬科大学

研究代表者

根岸 洋一  東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50286978)

研究分担者 高木 教夫  東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50318193)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード集束超音波 / 血液脳関門 / バブルリポソーム
研究概要

本年度計画では、バブルリポソーム(BL)と集束超音波(HIFU)照射併用法を確立し、血液脳関門(BBB)の透過性の向上を目指し、種々の検討を行った。バブルリポソームの構成脂質として、DPPCおよびPEGを用いて調製した。はじめにBBBの透過性を調べるために、BLとHIFU照射処理に伴う色素であるエバンスブルー(EB:血液中でアルブミンと結合)の脳実質組織への漏出を肉眼的かつ定量的な解析を行った。マウスにEBを尾静脈内投与し、数分後にBLを投与し、その直後に頭蓋から、HIFU照射を行った。数時間ごとに導入処理を行った脳を回収し、冠状断面の観察ならびに組織より、EBを抽出定量した。その結果、冠状断面の照射部位(右脳)のみにおけるEBの顕著な蓄積が観察された。また、抽出定量したところ超音波照射強度に伴うEB透過量の増加が認められた。このBLとHIFU照射処理後1~3時間においてEB蓄積量の増加は、ほぼ最大に達していた。次にHIFU照射条件の特性評価を行うために、超音波照射条件を変動させたところ、Duty10%、60秒で、十分なEBの透過を示した。さらに導入後の組織ダメージをHE染色、NADH-TR染色にて調べたところ、10%Dutyでは、顕著なダメージは、認められなかった。また、本照射条件(10%Duty、60秒)を利用することで、どの程度までの高分子量化合物が、BBBを透過できるか否かについて調べるためにFITC-Dextranを用いて、同様の実験を行った。その結果、最大2000kDaまでの分子が透過する傾向が認められた。また、その透過量は分子量の大きさに依存することも示された。さらにFITC修飾された低分子核酸を用いた場合では、BLとHIFU照射処理によって、脳内移行している傾向が示された。以上のことから、BLとHIFU照射処理によって、BBBの透過性を亢進させることが可能であることが明らかとなり、有用な脳へのデリバリーシステムとなりうるものと期待された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標として、バブルリポソーム(BL)と集束超音波(HIFU)照射併用法を確立し、血液脳関門(BBB)の透過性の向上を目指した。種々の検討結果から、バブルリポソームとHIFUを利用することで、血液脳関門の透過性を亢進させることが可能であることが示された。以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度計画では、核酸搭載バブルリポソーム(BL)の調製法の最適化と脳内核酸導入を検討する。
1) 核酸搭載を可能とする安定化BLの調製、核酸の搭載を目的としたアニオン性脂質含有BLを調製する。安定性を向上させるために、ポリエチレングリコールの修飾量を変化させ、脂質組成によるBL内のガスの保持率・封入量をガスクロマトグラフィーにより比較検討を行い安定性の高いBLを調製する。核酸・プラスミドDNAとPEIの複合体のアニオン性脂質含有BLへの搭載も進める。
2)アニオン性BLとHIFU照射併用法の確立、アニオン性BLとHIFU照射併用法により、血液脳関門(BBB)の透過性を向上させる条件検討を行うために、アニオン性BLとエバンスブルーを実験動物へと静脈内投与後、経皮的に脳内へとHIFU照射を行う。その後のエバンスブルーの脳内移行量を明らかにするために照射部位を回収し、エバンスブルーを組織から抽出定量する。同時に組織切片を作製し、定性的にも評価する。アニオン性BLの投与量、超音波照射条件(Dutyサイクル、照射強度)を変動させることで、HIFU併用法の最適化を行う。
3)脳内への核酸・プラスミドDNAの導入、BLとHIFU照射の併用によるレポーター遺伝子をコードしたプラスミドDNAあるいは、FITC修飾アンチセンス核酸の脳内導入を検討する。BLには、核酸・プラスミドDNAを搭載したものを調製し、導入に用いる。マウスに導入した後にレポーター遺伝子発現領域あるいは、FITC修飾アンチセンス核酸の導入領域を組織学的に解析する。

次年度の研究費の使用計画

研究計画は、ほぼ予定通り進んだが、プラスミドDNAを搭載させたバブルリポソームを利用した集束超音波の遺伝子導入実験を行うまでには、至らなかったため、その分の試薬と実験動物代が未使用額となってしまったため。
次年度使用計画として、プラスミドDNAを搭載させたバブルリポソームを利用した集束超音波の遺伝子導入実験を行う予定であり、その進捗を図るために、その分の試薬と実験動物が必要となるため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] バブルリポソームと高密度集束超音波併用による血液脳関門透過性亢進に関する基礎的検討2014

    • 著者名/発表者名
      山根 正也, 根岸洋一, 栗原 奈保, 髙橋葉子, 鈴木 亮, 丸山 一雄, 高木 教夫, 新槇 幸彦
    • 学会等名
      日本薬学会第134年会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20140328-20140330
  • [学会発表] バブルリポソームと高密度焦点式超音波併用による血液脳関門透過性亢進に関する基礎的検討

    • 著者名/発表者名
      山根 正也、根岸 洋一、栗原 奈保、髙橋 葉子、鈴木 亮、丸山 一雄、新槇 幸彦
    • 学会等名
      第57回日本薬学会関東支部大会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] アニオン性脂質含有バブルリポソームの開発

    • 著者名/発表者名
      根岸 洋一、菊池 太希、髙橋 葉子、小栗 由貴子、杉本 勝俊、森安 史典、鈴木 亮、丸山 一雄、新槇 幸彦
    • 学会等名
      第12回日本超音波治療研究会
    • 発表場所
      東京

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公開日: 2015-05-28  

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