本研究は、毛細血管網におけるグルコース濃度を光音響分光法に基づいて計測するために、(1)目的としない生体水等の信号成分を分離識別する技術、(2)目的としない表皮周辺から生じる信号成分を空間識別する技術の確立を目的としている。水に起因した信号成分を抑制するために、観測光と同時に水の吸光波長に応じた励起光を照射する方法を提案した。励起光の照射により、グルコース濃度1%当たり観測光強度が約1%変化することを明らかにし、励起光の照射により観測信号中の水信号成分を推定できる可能性を示した。また、異なる変調周波数の観測光を照射することで、表面から5 mm程度の深さの信号源分布を同定できる可能性を確認した。
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