目的)輸液回路の閉鎖系側管デバイスの適切な消毒方法の確立と評価基準作成 研究内容)(1)形状、アクセス方法の異なる代表的な閉鎖系デバイス3種類を選択し、評価した。(2)デバイスの消毒において頻用される消毒用エタノールを消毒剤とし、消毒手順は各メーカー推奨の方法で実施した。対照として蒸留水と比較した。(3)性能評価は、①デバイス穿刺表面の形状と拭き取りやすさ、②スリット部のシール性能、③繰り返し穿刺によるシール部分の耐久性、④持続穿刺によるシール部分の耐久性の4点を評価項目とした。(4)消毒効果の指標菌として、血管カテーテル感染の起炎菌として代表的な3菌種、菌種黄色ブドウ球菌、セラチア菌、バチルス菌を選択した。(5)①については、3菌種を選び、消毒をデバイス表面に1000個の菌液を接種し、消毒後の残存性を培養にて評価した。②③④については、黄色ブドウ球菌1菌種で評価した。 結果)(1)フラットで凹凸のない形状のアクセス部位をもつものは、容易に消毒ができ、かつ対照としての消毒効果のない蒸留水のみでも、アクセス表面から菌を除去できていた。逆に形状が複雑で凹凸のあるものは消毒効果も蒸留水による物理的除去効果においても低いことが判明した。(3)シール性能においては大きな差はなかく、良好であった。(4)耐久性においては明らかに1器材のにおいて性能低下が認められた。 意義と重要性)本研究において、側管デバイスの形状とアクセス方法の違いは、菌接種御消毒できなかった残存菌を輸液回路内に押し込む可能性が示唆され、上記の評価方法は、デバイスの消毒方法の評価基準作成の基礎的資料となりうることが判明した。デバイスによっては構造的な問題により十分な消毒ができずにデバイス由来の菌血症発生を助長するものが存在する可能性もあり、この基準の妥当性の評価を種々の市販デバイス実施する必要がある。
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