研究実績の概要 |
【研究目的】近年、磁性ナノ粒子を初めとするナノマテリアルの品質評価と共に、その安全性、人体への影響を検証しなければならない。そこで、本研究では、磁性ナノ粒子を用いたコンビナトリアル・セルクラスターによる評価システムを構築し、ナノマテリアルの毒性、安全性について評価した。 【研究成果】1年目は、①デバイスの作製、②デバイス内でのセルクラスターの形成、2年目は、デバイス内でのセルクラスターの形成率・回収率の再現性、機能を評価した(Cell Medicine, 2015)。3年目は、磁性ナノ粒子に対して、コンビナトリアル・セルクラスターによる毒性・機能評価を検討した。本実験では、10mm四方の基板上に、1ウェルあたり、上部正方形の一辺が400、600、800μmの3 通り、下部φ100、200、300μmの3 通りの貫通孔を密に配置したPDMSから成る‘コンビナトリアルTASCLデバイス’を作製し、様々なサイズの肝細胞クラスターを作製した。磁性ナノ粒子として、超常磁性酸化鉄微粒子(アニオン性, 市販MRI造影剤)、および開発したカチオン性磁性ナノ粒子を用いた。2種類の磁性ナノ粒子を肝細胞クラスターに添加し、細胞生死判定(Calcein-AM)、細胞増殖解析(EdU)、細胞機能毒性解析(グルタチオン、ミトコンドリア膜電位、ROSなど)について評価した。結果、本実験において、2D培養と同様に、3D培養(クラスター)でも有意な差は見られず、他の細胞種によるさらなる再現性・有効性を検証してゆく。また、様々なサイズのヒト脂肪由来幹細胞クラスターの構築にも成功した(Cell Medicine, accepted)。 【要約】本研究では、コンビナトリアル・セルクラスターによる評価システムの構築に成功した。本システムは、磁性ナノ粒子だけでなく、様々な薬剤等への応用が期待される。
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