骨折治癒促進法について、特定の分子を対象とした研究が多く行われてきたが、複雑な骨折治癒過程のすべてを促進する分子は見出されていない。本研究では、臨床的に古くから認められいる脊髄損傷後に骨折が早く治癒する事実に基づいて、ある特定の分子を対象としない、従来になかった骨折治癒促進法の基盤となる知見を見出すことを目的とした。脊髄損傷後の骨折が、実際に通常の骨折よりも早く治癒する否か、実験的に骨折治癒過程を検討した結果、脊髄損傷後の骨折の治癒期間は、通常の治癒期間よりも約40%短いことを実証した。そして、骨折治癒を促進する原因を探索した結果、脊髄損傷後の筋緊張亢進であることが明らかになった。
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