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2013 年度 実施状況報告書

下肢関節疾患術後に対する上肢運動の鎮痛効果機序解明とバイオマーカー探索

研究課題

研究課題/領域番号 25560263
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関長崎大学

研究代表者

沖田 実  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50244091)

研究分担者 中野 治郎  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20380834)
坂本 淳哉  長崎大学, 大学病院, 理学療法士 (20584080)
森本 陽介  長崎大学, 大学病院, 理学療法士 (40534409)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード理学療法学 / 運動療法 / 上肢運動 / 鎮痛効果 / バイオマーカー
研究概要

本年度はラット膝関節炎モデルを用い,その発生直後から上肢を用いた運動を負荷し,腫脹や痛みにおよぼす影響を検討した.
実験動物は8週齢のWistar系雄性ラットで,データとしてサンプリングできた24匹はまず実験群(n=16)と対照群(n=8)に振り分けられ,実験群に対しては右側膝関節に起炎剤である3%カラゲニンを投与することで関節炎を惹起させ,あわせて患部の自発運動を制限する目的で,膝関節を伸展位でギプス固定した.次に,実験群を上肢運動を負荷する運動群(n=8)と負荷しない非運動群(n=8)に分け,運動群のラットは小動物用トレッドミルに設置した台上に体幹部を固定し,手掌面がその歩行路に接地するよう調整した.そして,20 m/分の速度で歩行路を稼働させ,これを上肢のみで追従させることで運動を負荷した.この上肢運動の実施時間は20 分/回とし,20 分の休息をはさみ3セット実施し,これを6回/週,述べ4週間実施した.次に,各群に対しては実験開始前と起炎剤投与後1日目ならびに1,2,3,4週目に患部である右膝関節の横径を測定することで腫脹の程度を評価し,あわせてプッシュプルゲージを用いて圧痛閾値を評価した.また,遠隔部にあたる足背の痛覚閾値を評価するため,15gのVon Frey Filamentで同部位を10回刺激し,その際の痛み反応の出現頻度を測定した.結果,患部の痛覚閾値に関しては起炎剤投与2週目以降, 運動群で有意に軽減し,遠隔部にあたる足背の痛覚閾値に関しても起炎剤投与4週目で運動群に有意な軽減を認めた.これらのことから,患部以外を使用した運動でも患部に鎮痛効果を認め,この影響で中枢性感作が抑制され,患部から離れた部位の痛み,すなわち慢性痛の発生を軽減できることが示唆された.なお,当初予定していた生体組織の検索に関しては次年度上半期までに完了する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は上肢運動がもたらす患部ならびに遠隔部の鎮痛効果を中心に検索を進め,ほぼ当初の仮説通りの結果が得られ,この点については非常に満足している.しかし,このメカニズムを探索するために予定していた血液,脳,骨格筋等の生体組織の検索は十分に行えなかった.ただ,生体組織の採取はすでに完了しており,次年度の上半期までにデータを得たいと考えている.以上のような理由から,現在までの到達度は「おおむね順調に進展している」と判断した.

今後の研究の推進方策

痛みの行動学的評価から,動物実験モデルではあるものの,下肢関節疾患術後においては上肢運動によって鎮痛効果が得られる可能性が示唆た.そして今後はその生物学的機序を解明する実験系を立ち上げEBMに基づいた理学療法の開発につなげたい.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Investigation and macroscopic anatomical study of referred pain in patients with hip disease2014

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto J, Morimoto Y, Ishii S, Nakano J, Manabe Y, Okita M, Tsurumoto T
    • 雑誌名

      J Phys Ther Sci

      巻: 26 ページ: 203-208

    • DOI

      doi: 10.1589/jpts.26.203.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高齢者における脊椎圧迫骨折後の痛みに関する実態調査2013

    • 著者名/発表者名
      渋谷美帆子,片岡英樹,西川正悟,村上正寛,山下潤一郎,沖田 実
    • 雑誌名

      Pain Rehabilitation

      巻: 3 ページ: 2-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 不活動と痛み2013

    • 著者名/発表者名
      沖田 実,中野治郎,関野有紀,濱上陽平
    • 雑誌名

      Practice of Pain Management

      巻: 3 ページ: 18-22

  • [学会発表] 不活動に起因する痛みに対する運動療法の効果:基礎研究からの分析2014

    • 著者名/発表者名
      沖田 実
    • 学会等名
      第36回日本疼痛学会
    • 発表場所
      大阪市KKRホテル大阪
    • 年月日
      20140620-20140621
    • 招待講演
  • [学会発表] ラット膝関節炎モデルに対する前肢を用いた運動が腫脹や痛みにおよぼす影響2014

    • 著者名/発表者名
      青木久実,橋爪稚乃,本田祐一郎,田中美帆,中願寺風香,沖田 実
    • 学会等名
      第49回日本理学療法学術大会
    • 発表場所
      横浜市パシフィコ横浜
    • 年月日
      20140530-20140601
  • [備考] 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科運動障害リハビリテーション学研究室

    • URL

      http://www.am.nagasaki-u.ac.jp/pt/basic_pt/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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