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2014 年度 実施状況報告書

非利き手でも施行できる二重課題の開発:分配性注意障害の臨床検査として

研究課題

研究課題/領域番号 25560267
研究機関東海大学

研究代表者

豊倉 穣  東海大学, 医学部, 教授 (20217566)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード注意障害 / 二重課題 / 分配性注意 / リハビリテーション / 感度特異度 / カットオフ値
研究実績の概要

<目的>脳障害後によくみられる注意障害の評価には標準注意検査法(以下,CAT)が広く用いられている。しかし,注意障害に起因すると思われる社会生活上の問題がみられながら,CATでは明らかな異常を検出できないことがある。そこで我々は分配性注意を含む軽微な注意障害を検出する目的で二重課題を作成した。当初作成した二重課題のサブタスクには筆算が含まれており,利き手の巧緻性が要求される。そこで非利き手でも実施できるよう配慮した新たな二重課題(以下,dual task,DT)を考案した。その臨床的意義を検討するために本DTのカットオフ値を求め,感度,特異度を分析した。<課題内容>CDの再生により提示された単語のうち「なみだ」「みかん」のような3文字単語に「はい」と応答する聴覚処理サブタスクと紙面に書かれた乱数表のうち「7」のみを線で消す視覚的サブタスク(選択的単純末梢課題)を同時に行うものである。<対象>健常者134名(年齢21~59歳,平均35歳)およびADLが自立しているものの,症状や社会生活上の問題から注意障害が示唆された脳障害者46名(脳外傷,脳卒中など)(年齢18~59歳,平均40歳)を対象とした。<結果>健常者の聴覚サブタスクの正答率,的中率,視覚サブタスクの正答数,正答率,的中率はいずれも10歳ごとの年代群間比較で差を認めなかった。そこで健常者を1群として特異度80~85%を目安にカットオフ値を設定した。最終的な判定基準によると特異度83.6%,感度84.7%が得られた。これはPASAT(paced auditory serial addition task)2秒の感度54.3%を凌駕しており,先の二重課題の感度81%とほぼ同じであった。本DTは注意障害の検出に臨床的意義を有している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

健常者データも得られ,カットオフ値の設定ができた。当初の見込み通りの進展状況である。予定通り,来年度で本研究が終了できると考えている。

今後の研究の推進方策

今後も症例を蓄積し,二重課題の感度,特異度を再吟味。さらに標準的な注意検査(標準注意検査法の各下位課題:「Span」「Cancellation and Detection Test(抹消・検出検査)」「Symbol Digit Modalities Test(SDMT)」「Memory Updating Test(記憶更新検査)」「Paced auditory serial addition task(PASAT)」「Position Stroop Test(上中下検査)」,仮名ひろい検査など)のデータと比較することで,DTの臨床的意義について検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

統計ソフト,消耗品の一部などで購入が先送りになったため。

次年度使用額の使用計画

27年度に使用の予定。統計ソフトは最終的な計算処理に使用し,各消耗品も当該用途に供するものである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 注意障害の新しい評価法として開発した非利き手でも施行可能な二重課題:他の神経2015

    • 著者名/発表者名
      豊倉穣
    • 学会等名
      第52回日本リハビリテーション医学会
    • 発表場所
      新潟
    • 年月日
      2015-05-28 – 2015-05-30
  • [学会発表] 軽微な注意障害を検出する目的で開発した二重課題の感度と妥当性:脳外傷例での検討2015

    • 著者名/発表者名
      豊倉穣
    • 学会等名
      第38回日本脳神経外傷学会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-06-07
  • [学会発表] 注意障害の新しい評価法として開発した,非利き手でも施行可能な二重課題:感度と特異度の検討2014

    • 著者名/発表者名
      豊倉穣
    • 学会等名
      第51回日本リハビリテーション医学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-06-05 – 2014-06-07
  • [学会発表] 脳外傷後亜急性期のリハビリテーション:社会参加の向上に関する諸問題と高次脳機能障害2014

    • 著者名/発表者名
      豊倉穣
    • 学会等名
      第51回日本リハビリテーション医学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-06-05 – 2014-06-07
  • [図書] 高次脳機能障害のリハビリテーション2015

    • 著者名/発表者名
      豊倉穣
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2016-05-27  

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