上肢の運動障害に影響されにくい二重課題Bを作成し,意義を検討した。本課題Bは全ての脳障害患者で容易に実施することができた反面,その感度は85%と高く,標準注意検査法(CAT)の下位検査(29~80%)および仮名ひろいテスト(57%)を凌駕していた。一方,特異度は82%とCAT下位検査の平均と同値であった。先に報告した二重課題AおよびCAT下位検査の成績を説明変数とする多変量解析の結果,二重課題Bの成績は同じ二重課題Aの成績に大きく関連した。CAT下位課題とは関連せず,CATでは評価困難な注意障害をも検出し得る可能性が示唆された。以上より,注意障害評価に関して課題Bの有用性が示唆された。
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