研究課題/領域番号 |
25560275
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究部長 (00392192)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 炎症反応 / 前駆細胞 |
研究概要 |
初年度は使用するマウスとなるGFAP-CreERT2の導入とタモキシフェンによるCreリコンビナーゼの誘導を確認する実験を行った。一方、慢性圧迫モデルの一つであるTwyマウスの導入が遅れているため慢性病態の一つであるカプリゾンによる神経障害モデルの解析を行った。カプリゾンは銅キレート剤であり、白質に脱髄と炎症を誘導することが知られている。投与4週目には脳梁を中心としたGFAP陽性アストロサイトとIba1陽性のミクログリアの増殖が観察され、同時期のRT-PCR解析ではサイトカインとケモカインの発現上昇が見られた。これまでの文献報告ではマウス圧迫性脊髄病変においてもケモカインの発現上昇が報告されており、両者のモデルの共通性が確認された。また、BrdU投与によりオリゴデンドロサイト前駆細胞のラベルをすることで再髄鞘化のプロセスを解析することができる。カプリゾン投与中止後2週の時点で、BrdU陽性かつ成熟マーカーであるCC1陽性のオリゴデンドロサイトが多数脳梁にて観察された。今後、炎症の環境因子と再髄鞘化プロセスの関係を解析するための実験系が確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性圧迫モデルであるTwyマウスの実験系の確立は予定より遅れているが、慢性炎症モデルでの解析が進むことによって、Twyマウスによる慢性圧迫モデルに向けた予備検討を進めることができている。これによって慢性脊髄圧迫の実験において検討すべき項目が明確となっており、次年度に効率の良い実験が遂行できることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの慢性圧迫モデルとなるTwyマウスの実験系の確立を進めると同時に、スペーサーを挿入する別個のモデルの準備を進める。解析のターゲットはひきつづきカプリゾンによる慢性炎症モデルを用いて検討を行い、炎症性サイトカインのプロファイルを確認すると同時に、再髄鞘化の起点となるオリゴデンドロサイト前駆細胞の挙動を解析する実験系を確立させる。最終的に慢性圧迫モデルの自然経過における炎症反応とグリア・ニューロン機能の関係。さらにGFAP-CreERT2:Erk2floxedマウスによるアストロサイトの機能修飾をした場合の変化を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通り研究を実施した結果、年度末に少額の残存が生じた。 次年度予算に含め、計画通り実験を行う。研究全体に影響はない。
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