研究課題
本研究では、次の3つのアイディアで研究を進めて来た。①並列運動制御器分離とその精度の定量評価:運動制御の基本である予測制御器とフィードバック制御器の出力を固有の方法で分離し、それぞれの精度を定量的に評価する,②上肢分離運動能力の定量化:脳卒中患者に特有の、筋活動の絞り込みの障害(=共同運動)を上腕の2筋の筋電図記録により定量的に評価する,③ ①と②で抽出された運動機能の定量的パラメータのチャート化による病態履歴の見える化,の3つである。以下に各項目の成果の概要を記す。①.2年間の研究で、予測制御器とフィードバック制御器の分離評価を筋電図に頼らず、手関節の動きのみで行えるように改良を行った。電極の設置に時間を要する筋電図の記録を省略できたため、検査の所要時間は1時間から数分に激減し、同じ患者から反復記録を行うことも容易になった。さらに、筋電図の省略に伴い、解析の対象を手関節以外の全身運動に広げることが可能になった。その結果、研究の申請時には必須であった手関節マニピュランダム以外の、多様な方法で多様な身体部位の運動を対象に、並列運動制御器の観点で分析出来るようになった。例えば、iPadやLeap Motionのような数万円以下の安価な入力機器を使って、時間と場所を選ばない病態評価の可能性に道を開いた。②.①の成果は筋電図記録を無用にしたわけではない。手関節運動時に上腕二頭筋と三頭筋の筋活動を記録することにより、脳卒中患者の「共同運動」という病態を定量的に評価出来ることが明らかになった。この2つの筋肉から筋電図を記録することは極めて容易であり、①の簡便さを損なうことなく、脳卒中の新しい病態指標を得られるようになった。③.①と②で得られる3つの定量的パラメータに加え、脊髄の反射系の病態を反映すると考えられる微細運動の量の、計4つのパラメータで病態可視化と追跡を可能にした。
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