研究課題/領域番号 |
25560282
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中村 幸男 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (00549488)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 変形性膝関節症 |
研究実績の概要 |
要介護高齢者と転倒にかかわる主要因の一つとして、ロコモティブシンドロームがあげられる。本事業では、代表的疾患である変形性膝関節症(膝OA)の足裏感覚に着目し、足底感覚評価装置を用いて、より実際の立位や歩行に近い足底感覚と足底接地状態、足圧分布の関連性を調べ,ヒトの立位バランス能力の足底感覚を含めた機序解明および高齢者などの転倒防止策構築であることを主目的とした。 本年度は、主に後足部アライメントと母趾感覚閾値の関係についての検証を行った。被験者は,神経学的既往症は無い15人(男性名10名 女性5名)であり年齢は18~55歳であった。実験の開始および参加にあたり、事前に実験の趣旨を口頭にて説明し対象者の同意を得た上で実験をおこなった。上記距骨下関節の内反群と外反群に分け、両群の足底面の感覚機能に差があるかどうかを調べた結果、距骨下関節の内反群は外反群と比べて動的な刺激に対する足底感覚閾値は有意に高い値(p<0.01)を示した。距骨下関節が外反位にあると歩行時の足底面に投影した重心移動の軌跡は母趾球を含めた足底面の内側部へより多く偏位する。今回の結果より、距骨下関節の外反位で母趾球の感覚が鋭くなるのは、多くの圧力が内側部に集中しここを通過する重心移動を制御するために母趾球の動的な刺激に対する感覚閾値を低下させた結果であることが示唆された。今後足底装具などによる重心のコントロールによって転倒防止策となることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、1) 膝OA患者の症例数を増加し、得られた知見の再現性の確認、2) 膝OA患者と同世代の健常人に対しての同様の検査施行、が必要である。さらに、膝OA患者および健常者における足裏感覚の測定を行い、本来の主目的である膝OA患者が転倒しやすいメカニズムの検証を行う。 装具療法を含めた標準的リハビリテーションを実施し、足裏感覚障害の回復度を再評価することにより、足裏感覚障害改善による転倒抑止効果の影響も検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりもサンプル解析の執行が少なかったため
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はH27年度の物品費、旅費として使用する
|