研究課題/領域番号 |
25560283
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
寺嶋 一彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60159043)
|
研究分担者 |
鈴木 重行 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60179215)
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (70415842)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 歩行訓練支援ロボット / 吊上げ式免荷装置 / リハビリテーション / 全方向移動歩行訓練 / テーラメイド歩行支援 / 最適免荷量 / 脚底荷重計測センサ / ゼログラビティ |
研究実績の概要 |
本研究では、歩行訓練中の床反力による下肢への負担を軽減しながら、運動機能回復の促進を目指したテーラーメイドなリアルタイム免荷式全方向移動型歩行訓練システムを構築した。両脚裏の目標免荷を決め、その値に免荷量を制御すると共に、思う方向に歩行できる全方向自動追従制御を実現した。これにより従来歩行中に、片脚歩行時に無理な荷重がかかったものが、常に一定の荷重で歩行でき、患者の負担を軽減できた。本研究では、ワイヤロープを別々に2本用意し、それぞれのワイヤをモータにより制御し免荷量を制御する方式を提案した。つり上げ量はワイヤ上部に取り付けたロードセルセンサで検出し、体重からその値を引いたものを、脚にかかる負荷と推定する同定方式を採用した。体の左右による揺れにより重心位置が変わり、単純な同定では推定精度が保証できないので、重心位置をkinectセンサで測定し、それに基づき、脚底にかかる荷重の推定方法を提案した。これにより、脚底にセンサを取るつける必要がないセンサレス推定法を確立できた。なお、免荷量制御による脚底負荷一定の制御では、歩行姿勢である歩容が悪く、足の運びがよくなるには、ある程度歩行を誘発しつつ、脚底負荷をあるレベルに抑える、負荷振幅を制限下での周期負荷制御方式を提案した。これにより、歩行がしやすく、また免荷量を制約範囲に抑える制御が実現できた。またこれの極限が無重力制御であり、脚の動きをレーザセンサで検出し、それにより負荷零で歩行が自由できるシステムを構築した。さらにその時の脳波の検出を行い、脳波と歩行訓練状況や歩行意思との関係について解析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免荷量が任意に制御でき、脚底負荷を自由に制御できるシステムを構築した。またゼログラビティでも歩行できるシステムにした。また足を出すとその方向と足幅に応じて、歩行支援機器が歩行訓練者の意図通りの方向に移動できる全方向歩行訓練システムが実現できた。またそれを統合し、全方向移動式の吊り下げ式最適免荷制御による歩行訓練装置およびシステムを構築した。これは当初の主要目的であり、完遂できた。この成果は世界では類を見ないもので、医療関係者には期待されている。また完全吊り下げでゼログラビティで歩行できるシステムも構築した。これにより自重を足で支えることなく、自由に動き回れるが、スリングシート(尻部を包み込むシート)が体に負担をかけ心地よさに欠ける点が課題であり今後、改良が必要である。また脳波で快適性、歩行訓練状況の把握を試みたが、顕著な成果はまだ出ていなく、今後も継続して解析する。
|
今後の研究の推進方策 |
・今後は、全方向移動と免荷を最適に統合し、使いやすく、精度の良い機器にし、安全性を保障できるシステムに改善をしていく。 ・スリングシート部が装着時に、フィットし、快適性を保てるよう、繊維開発企業とも共同し、快適なスリングシートの開発を検討する。 ・脳波と、歩行訓練効果、歩行訓練意図との関係を解明し、脳波で、歩行訓練が最適に監視できるようなシステムに発展させていきたい。 ・開発した免荷式歩行支援装置を小型化し、美観もそなえた使ってみたいロボットに仕上げ、世の中に実用化され社会貢献できるよう、研究開発を一層進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
脳波測定と歩行訓練状況および、歩行意思との関連を究明する実験が、脳波測定装置を他研究室から借りて行う予定であったが、そのシステムが、借用途中に故障、補修などがあり、機関中に完成できなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
そのためそれについて平成27年度早々に実験を行う。また結果などもまとめたうえで本研究の全成果を国際会議で発表、また論文投稿する予定である。経費は、実験での消耗品関係、論文投稿、学会発表などに使用する予定である。
|