本研究課題では足底感覚刺激を用いて動作指導を支援する新たな履物を提案し、その効果検証を実施している。平成27年度には過去2年間で作製した「知覚入力型インソール」が実際の高齢者の歩容に及ぼす影響について検証した。結果、知覚入力型インソール使用時には高齢者の遊脚中のトゥクリアランス、足関節背屈角度が改善し、歩幅の延長を認め、前年度実施した健常成人での実験結果と類似した結果を得た。この結果から、知覚入力型インソールを用いた動作指導が躓き転倒を予防する可能性が示唆された。 また、これに加えて前年度、同インソールが運動の「理解」に効果を示すことを確認したため、本年度は運動の「学習」に及ぼす影響について実験を行った。結果、知覚入力型インソール非着用時においても、「理解」された動作を反復することが可能であった。 すなわち、高齢者に対する知覚入力型インソールを用いた動作指導は、直観的な「運動理解」を可能とし、「運動」の再現に有効に働く可能性がある。 なお、これまでの研究成果については今後論文2編(投稿中2編)、学会発表2件、講演2件で公表および公表予定である。
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