本研究は,認知症高齢者の会話相手となり,会話を通して患者の健康状態や認知的能力の把握を行う会話エージェントの研究開発を目標とし,研究計画に沿って研究を実施した.研究成果を以下に記述する. (1) 認知症高齢者の話し相手となる会話エージェントの開発:3年間の研究期間において,Unityを用いたアニメーションの会話エージェントとロボットの2種類のシステムを開発した.アニメーションエージェントについては,介護施設のスタッフの方でも簡単に操作できるようにインタフェースを工夫し,ワンクリックで起動できるシステムを実現した. (2) 介護施設等での評価実験の実施:アニメーションエージェントは介護施設に約1ヶ月常設させていただき,実際に入所者の認知症高齢者に使用していただいた. (3) 患者の状態把握:音声,発話内容,顔画像から認知症患者がエージェントとの会話に積極的であるか,否定的な言葉が頻出していなかったかを自動的に判定する技術を開発した.これまでの音声のみの評価ではなく,顔画像から表情の情報も利用したモデルを作成した.
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