自分の足で歩き,人々と交流を持つことは,体力面のみならず精神面での健やかさを維持するために重要であるが,転倒・転落などが原因でその機会を失う人達もいる.本研究では,人々が安全に国土を歩行できるように支援するための情報を「調査・収集・提供可能なシステム」の構築と運用を目的とし,傾斜などの路面情報を広域的に収集するための「クローラ型情報収集デバイス」および,人々が互いに情報提供し合い,日々最新の路面情報を維持することを支援する「ソーシャルフレームワーク」の開発を目指す. 本研究では,H25年度までにGPSと加速度センサを組み合わせることで,位置と路面情報の正確な紐づけを可能にする「クローラ型情報収集デバイス」を試作し,仙台市錦ヶ丘地区で路面情報の収集を行った.また,Googleマップと連携することで,収集した情報を,PCやスマートフォンで閲覧可能にするとともに,児童や高齢者でも簡単に扱える「情報提示デバイス」の開発にも取り組んだ. H26年度では,住民によるフィールド調査を行ううえで,情報収集デバイスおよび情報提示デバイスの量産について再検討を行い,主にハードウェア面の見直しを行った.具体的には,「情報提示デバイス」については,本研究開始時から検討・試作した構成部品よりも,安価なデバイスが国内市場に出始めたため,主要ハードウェアの変更を試みた.また「情報収集デバイス」については,情報収集時の操作状況により,取得できるデータにばらつきが出ることがあった.そのため,開発者以外の利用者が,より一層簡便に利用できるように「自動追尾型情報収集デバイス」の開発に取り組んだ.本デバイスは,利用者が特別な操作をすることなく,デバイスが自律的に利用者を追尾しながら路面情報を収集することを目指している. これらのデバイスを用いることで,より簡便に情報収集および情報提示が行えるようになると考える.
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