本研究ではまず、サル脊髄に刺激用多極電極を慢性留置する方法を確立した後、多極刺激によって、刺激効果が加重することを確認した。その後、刺激時の上肢姿勢が刺激効果をどのように修飾するのか定量化した。刺激開始時の手の位置が誘発運動に与える影響を系統的に探索した。その結果、体幹部に対する手の相対的な位置の相違により、脊髄刺激効果が有意に異なる事を発見した。この事は、手の初期位置を考慮に入れた刺激パラメタの確立が必須である事を示していた。以上のような刺激加重の非線形性と、刺激効果の初期位置依存性は本研究で初めて明らかになった。今後の脊髄刺激による機能再建技術開発にとって重要な知見を報告できた。
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