日本の青少年の「武道離れ」は深刻であり、日本で生まれた柔道の競技人口はフランスよりも少ない。現代の子どもたちは「武道」に対してどのようなイメージを抱いているか科学的な調査が充分に行なわれていない。多くの調査ではアンケートが使われていたため、回答者の「ホンネ」が反映されたものになっていたのかどうか疑問が残る。 本研究で用いたFUMIEテストは、回答者の潜在連想構造を調べるものであり、従来のアンケート調査では明らかにできなかった「武道」に対するホンネ(=潜在態度)を探ることができる。本研究では「武道」に対するイメージ、剣道と柔道に対するイメージについて検討した。 FUMIEテストは中学生292名を対象とし、柔道と剣道についてホンネ(=潜在態度)を調査した。また、剣道の授業の実施前後でFUMIEテストを行った。その結果、1.全体として武道に対して肯定的にとらえていることがうかがえる。2.剣道の授業前では、1年女子、2年男子、2年女子と結果は-(マイナス)となり、剣道に対する好意的ではないイメージを持っていた。3.しかし剣道の授業後には1年、2年の男女生徒においてプラス結果となり「剣道やってみて思っていたより良かった」と感じ、肯定的にとらえている結果が得られた。以上、授業前にもっていた剣道に対するネガティブな側面(これまでのイメージでは臭い、痛い、ださい、など)が授業を終えたら、案外おもしろくて、かっこ良いなどの肯定的なものに変わっていったことがわかった。また、柔道に関しては、オリンピックやテレビ等での認知度もあるのか、肯定的に捉えられている。実際に授業を実施した場合にはどうなるか、興味があるところである。 以上の研究成果を、2016年第20回東アジア運動スポーツ科学会(中国、上海)で発表した。今後はデータを詳細に検討しまとめ、日本武道学会で発表、論文等を考えている。
|