研究課題/領域番号 |
25560311
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
内山 治樹 筑波大学, 体育系, 教授 (00168717)
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研究分担者 |
吉田 健司 筑波大学, 体育系, 准教授 (20436265)
池田 英治 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 研究員 (70726877)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コーチング / 効力感 / パフォーマンス / バスケットボール / 集団の機能 / グループダイナミクス |
研究概要 |
近年,スポーツ集団研究において着目される“Collective Efficacy”(CE)は,客観的妥当性を有した尺度の開発やマルチレベルな視点(集団と個人)をもった統計的手法の援用,および理論的枠組みに基づく介入方法の検討に大きな課題がある.そこで,本研究では,バスケットボール・チームを対象にCE尺度(心理指標)を開発し,それを現場で応用することで,世界に先駆けたCEによるチーム・パフォーマンスの向上への具体的な方法論を明らかにすることを目的としている. 平成25年度の研究実施計画は,バスケットボール版CE尺度を作成するために,1) 尺度項目の選定,2) 予備的調査,3) 本調査,を行うことであった. 以前に我々が作成した尺度(2012)をベースに,主にスポーツ心理学におけるCE尺度に関する研究およびバスケットボールに関する文献を参考として53項目を選定し,それらを内容的妥当性を担保するためにバスケットボールを専門とする者たちとの合議によって精査した.その上で,関東大学バスケットボールリーグに所属する53名(男43名,女10名)に対して予備調査を行ったところ,24項目が抽出された.それら24項目の質問紙を大学リーグ,実業団リーグ,JBL及びWJBLに所属する662名(男440名,女222名)の選手に回答させた結果,バスケットボール版CE尺度(Offense)は3因子(戦術,特性,調整)21項目から構成され,高い信頼性を有することが明らかとなった.また,検証的因子分析の結果及び外部基準に既存のスポーツ選手用一般性CE尺度等を用いて併存的妥当性を検証した結果から,バスケットボール版CE尺度(Offense)は比較的高い妥当性を有することが確認された.更に,そのCE尺度とパフィーマンスとの関係を調査したところ,パフォーマンス・レベルの高い群は低い群に比べて有意にCE尺度得点が高く,特に,その傾向は実業団リーグに所属する選手において顕著であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度における研究実施計画は,バスケットボールに特化したCE尺度を作成することであった.予定通りに予備調査,本調査を終了し,現在,論文を学会誌に投稿中である.また,平成26年度に予定していた,Self Efficacy(SE)尺度との関係性の調査についても,先行して着手している. 従って,研究全体としての達成度はおおむね順調に進行しているといえ,おおよそ期限内に研究課題は達成可能である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究実施計画は,本年度作成したCE尺度を用いて,1) CE尺度とSE尺度との関係性を検討すること,2) CE及びSEに与える集団の影響度を測定すること,3) バスケットボール版CE尺度を用いた事例的な介入を行うこと,である. まず,1)および2)については,本年度と同様の対象者に対して,既にバスケットボール版SEに関する質問紙を配布・収集を終えており,一部分析に取り掛かっている状態である.CE尺度得点およびSE尺度得点の階層的なデータをHLM(Hierarchical Linear Modeling)を用いて分析を行う予定である.3) については,関東大学バスケットボール連盟に所属するチームを対象として,介入前パフォーマンス,CE尺度,SE尺度を測定し,HLMによる解析を通して分析の手法を決定する.その上で,介入期間中におけるパフォーマンス(CE)の変容を評価しながら,逐次,介入方法の調整を施し,最終的な介入後パフォーマンスの測定を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度計上した研究費について,学会参加にかかる「旅費」およびアンケート調査における調査票の通信費が“安価”であったため. 平成26年度において,「旅費」および学会参加費,論文投稿料に充てることを予定している.
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