本研究では服地内にセンサを組み込むことで動作に制限がなく,選手の巧緻動作を邪魔することなく計測ができる動作解析システムの開発を行う目的で実験を行った.本実験では服地にひずみセンサを貼り付け,肘関節の屈曲・伸展動作及び回内・回外動作を被験者5人におこなってもらった.肘関節角度毎のひずみ量と肘関節角度の関係,センサ装着位置の違い,センサの装着方法の違い,センサの装着角度の違いによってどのような結果が得られ,服地内にひずみを組み込んで動作解析を行えるのか検討した.その結果以下の結論を得た. (1) 服地にセンサを装着する際には屈曲・伸展動作及び回内・回外動作においてシリコン皮膜を用いることで安定することがわかった. (2) 腕の屈曲・伸展動作では前腕の肘関節付近にセンサを取り付けて測定を行うことが有効であり,大きくても最大角度誤差は目標角度の13.8%,平均角度誤差は目標角度の2.97%で動作解析ができるとわかった. (3) 腕の回内・回外動作では橈骨側部において手首手根骨の近位列にあたる舟状骨付近位の橈骨の茎状突起付近部の位置にセンサを取り付けて測定を行うことが有効であり,最大角度誤差は目標角度の18.1%,平均角度誤差は目標角度の4.2%で動作解析できるとわかった. (4) 角度が上がるにつれてひずみ量も相関的に増加することがわかり,服地内にセンサを取り付けて,動作解析を行うことは可能であることが分かった.さらなる改善を加えることにより高い精度での動作解析が期待できる.
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