本年度は,昨年度までの研究成果を論文化し,現在投稿中である. また,パッティング実験の中で,課題であったクラブフェースの角度を光学式動作解析装置で精度よく計測できる方法を開発した.具体的にはクラブとクラブフェースを剛体として事前に計測しておくことにより,運動中にクラブフェースに貼付しているマーカーとの関係を計算により求め,クラブフェースの角度の推定を行う方法を開発した. また,もう一つの課題であった,距離の見積については,従来採用してきたVisual Analog Scaleに加え,心理的距離の推定のために,実打前の素振りを計測し,距離の違いによる素振りの振幅,ヘッドスピードの変化を検討することとした.さらに,実験参加者に目標との距離を呈示する際に,他の何らかの対象物との関係を手がかりにして距離を推定しないために,天井に設置したスライドプロジェクターで,ホールを呈示する方法を開発した.これらの方法によって,平常時に,7つの距離のパッティング動作の再現性とその距離の見積もりを計測する実験を,プロ・アマ10名ずつを対象に行った.これは,動作面での再現性・精確性の程度を把握するためである.その結果は鋭意,現在解析中である. 今後は,心理的プレッシャーなどによる不安の状態変化によって,パッティング動作の正確性が変化するのは,距離の見積もりが崩れるのか,動作自体の再現性が崩れるのかを検討する実験を行うことによって,心理的距離の存在を検討する予定である.
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