研究課題/領域番号 |
25560317
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長野 明紀 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (30392054)
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研究分担者 |
吉岡 伸輔 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20512312)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モーションキャプチャー / 動作解析 / 画像処理 |
研究概要 |
これまでに、主として以下の3つの成果を挙げてきた。 (1)画像処理の手法を用いて通常の映像からモーションキャプチャーを実施することを目指し、基本となるアルゴリズムを構築した。具体的には(a)通常のデジタルカメラを用いて撮影した画像から動作領域をロバストに抽出する事を可能にした。この手法を用いると背景が複雑な場合でも処理を行うことが出来る。(b)異なる時刻の画像を重ね合わせて表示することにより、動作の運動学的考察を容易に行える様にした。(c)動作領域に多リンク系の形状をフィッティングし、身体セグメントの位置と関節角度を計算出来る様にした。単リンクの形状としては凸多角形または楕円を選択でき、その辺や径の長さもフィッティングの中で微調整できるようにした。 (2)慣性センサを用いて、全身運動中のセグメントの運動状態をリアルタイムに把握して動作解析を実施する事を目指し、基幹となるアルゴリズムを構築した。加速度センサとしては小型・軽量・ウェアラブルなものを用い、全身のセグメントに取り付けた。これらのセンサは無線でリアルタイムにデータを送信できるため、拘束の少ない動作が可能である。歩行・走行・椅子からの立ち上がり等、動作様式が既知な場合には、これらのセンサを用いて運動状態を評価することが可能であることを明らかにした。 (3)Kinect を2台同時に用いたモーションキャプチャーを可能にした。1台のみを用いた場合はデータに大きな誤差がある事を確認しているが、複数台からのデータを統合した場合、台数に応じて誤差が減少すると考えられる。現在誤差を最小化する計測方法と処理アルゴリズムについて検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
通常のデジタルカメラから取得した画像に基づいて、画像処理の技術を用いてモーションキャプチャーを行うための基幹となるプログラムを開発した。この成果についてはすでに国内学会で発表している。 また、小型・軽量・ウェアラブルな慣性センサやKinectを用いた計測・解析・評価も試み、成果を挙げてきた。これらの機器は拘束の少ない環境で使えるものであり、使用者の自然な動作を殆ど妨げない。更に、これらを用いることで画像データとは異なる性質の有用なデータを得ることが可能である。こちらの成果についても国内・国際学会発表や論文発表という形で報告している。 そのため当初の計画以上に、多角的に研究を推進できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は画像処理を中心としたアプローチ、慣性センサを用いたアプローチ、Kinect を用いたアプローチの全方面に研究を発展させていく。これらのアプローチはオーバーラップする部分も多く、得られた結果を統合的に解析して有用な情報を得るアルゴリズムも構築する。 現在までは実験室の中で開発・検証を行ってきているが、屋外で使用できるシステムも開発する予定である。本研究で使用しているデバイスは基本的に電力消費量が少ないため、小型のバッテリーを用いての電力供給が可能である。屋外においては特に環境光の量と性質が実験室とは異なるので、環境光の状態が変化してもロバストにモーションキャプチャーを行えるアルゴリズムを考案する。
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