画像処理の技術を用いて、マーカーレスなモーションキャプチャーを可能にするシステムを構築した。このシステムではスマートフォン、デジタルカメラ、USBカメラ等、基本的に如何なるカメラで取得した画像でも処理することが可能である。被験者が映っているフレームと背景フレームとの差分を演算することにより被験者の身体の領域のみを抜き出す。そのデータに基づいた解析を行う。 また、このシステムで得られるデータの検証を行った。歩行・走行の動作を対象とし、新手法と従来のモーションキャプチャーの手法で得られる値を比較することで妥当性を検証した。 その結果、モーションキャプチャーで得られる値を真値と考えた場合、新手法の誤差は4%未満であることが明らかとなった。新手法はいかなるカメラを用いても適用可能である点、屋外でも容易にデータを取得できる点、被験者にマーカーを取り付ける必要が無い点等を考慮すると、4%未満程度の誤差を補って余りあるメリットが期待できると考えられる。今後この手法をより応用的な課題に適用していく予定である。 またこれに関連し、ウェアラブルな加速度センサを用いた動作解析にも取り組んだ。前述の手法では最初に位置データを求め、これを微分することで速度・加速度を求める。一方で加速度センサを用いる場合には加速度データを直接的に取得して、これを積分することで速度・位置を求める。この加速度・速度データの波形が個々人の歩行・走行動作の特徴を反映していることが明らかとなった。身体に複数個装着したセンサからのデータを統合し有用な情報を抽出する手法も考案した。これについても今後様々な対象に適用し、研究を発展させて行く。
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