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2014 年度 実施状況報告書

プロスポーツチームの生み出す非利用価値と集積効果に関する理論・実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 25560323
研究機関鹿児島大学

研究代表者

福山 博文  鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (40409537)

研究分担者 小川 光  名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10313967)
内藤 徹  徳島大学, その他の研究科, 教授 (90309732)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードスポーツ経済学 / 仮想評価法 / スポーツチームの非利用価値
研究実績の概要

本年度に成果を上げた研究の概要は以下の通りである。本年度は,地域におけるプロスポーツチームの存在が地域住民に与える影響について考察を行った。地域のプロスポーツチームが生み出す経済的価値は,利用価値と非利用価値に分かれており,特に本研究では,非利用価値,すなわち実際にスポーツ観戦をしなくても発生する価値(オプション価値,遺産価値,存在価値がこれに相当する)の計測を行った。本研究では,環境経済学分野でポピュラーな手法である仮想評価法(CVM: Contingent Valuation Method)を用いて,横浜市民を対象にして横浜DeNAベイスターズの非利用価値の計測を試みた。楽天リサーチ株式会社にモニター調査を依頼し,横浜市民に対し「ベイスターズの本拠地を横浜市から他の都道府県に移転させる計画を阻止するためならいくらまで支払えるか」という仮想的な質問を行うことで,横浜DeNAベイスターズの非利用価値を推定した。
分析の結果,ランダム効用モデルで推定した場合,一世帯あたりの支払い意思額(WTP)は中央値200円,平均値は899円,ワイブル生存分析で推定した場合,一世帯あたりのWTPの中央値は214円,平均値は894円と推定された。アメリカのプロアイスホッケーリーグのピッツバーグ・ペンギンズの非利用価値を計測した先行研究では,一世帯あたりのWTPは平均5.57ドル,スペインのリーガ・エスパニョーラに所属するデポルティーボ・ラ・コルーニャの非利用価値を計測した先行研究では,一世帯あたりのWTPは平均11.781ユーロと算出されており,横浜DeNAベイスターズのWTPの値はその中間にあると言える。この結果は,サッカー人気の高いヨーロッパよりは低い金額となったが,スポーツの多様化が進む日本において,まだまだ野球への人気は高いことを示す結果となったと言えるだろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究テーマは,3年間の研究期間の中で最も重要でありかつ研究の基盤になるものであるから,共同研究者との打ち合わせを綿密に行い,研究会での研究発表を重ねることでブラッシュアップしており,当初の計画通り順調に進んでいる。特に,共同研究者とはこれまでに多くの共同研究を実施してきた実績があり,研究目的を達成するために有益な情報交換を頻繁に行い,効率的に研究を遂行することができた。

今後の研究の推進方策

本研究の最終年度である次年度は,本研究の最大のテーマである「プロスポーツチームの非利用価値に対してスポーツチームの集中(集積)の度合いおよび時間選好がどのような影響を及ぼすのか」を明らかにしていく。これらの研究は,空間経済学および行動経済学の知見が必要なため,この分野を専門とする共同研究者とより綿密な打ち合わせが必要である。最終的には,3月に開催されるアメリカのスポーツ経済学会で研究成果を発表し,スポーツ経済学の英文雑誌に投稿する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度における研究計画は予定通り進められたが,結果として,44,049円の差額が生じた。これは,共同研究者と研究の打ち合わせを行うための旅費として計上していたが,メールおよび電話,研究会の合間の時間を利用して効率よく研究打ち合わせを行ったため生じたものである。

次年度使用額の使用計画

次年度への繰越額である44,049円は,次年度の研究打ち合わせのための旅費として使用する予定である。3年の研究期間の最終年度である次年度は,本研究の成果を形としてまとめる必要があり,共同研究者とより綿密な研究打ち合わせを行いながらより完成度の高い研究論文に仕上げていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 仮想評価法による地域住民にとってのプロスポーツチームの非利用価値の計測2015

    • 著者名/発表者名
      福山博文,清水健太
    • 雑誌名

      Discussion Papers In Economics and Sociology

      巻: No.1501 ページ: 1-20

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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