研究課題/領域番号 |
25560326
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
橘 香織 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80453025)
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研究分担者 |
我妻 広明 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (60392180)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 障害者スポーツ / 活動量 / 加速度計 / 健康増進 |
研究実績の概要 |
身体に障がいがある場合,健常者に比較して日常活動性が低下する傾向があり,外出や運動頻度も減少しうることから,健康への影響が重要な問題として指摘されている.しかし,車椅子ユーザーのスポーツ活動中の身体活動量の定量的測定と適切な運動処方についての知見は非常に限られている.本研究は,スポーツ用車椅子を使用した運動中の身体活動量の定量的評価方法の確立を目的に車椅子に加速度計を取り付けた計測方法の開発,ならびにスポーツ活動中の車椅子加速度計側法によるエネルギー消費量推定を行うことを目的としている。 2014年度はワイヤレスの9軸モーションセンサー(加速度,角速度,ジャイロ),心拍計,呼気ガス分析器の同時計測システムの開発を行い,スポーツ用車椅子を用いて,20mシャトルランを運動課題とし,速度を変えて走行したときの車椅子の加速度・角速度と体幹の加速度・角速度,心拍数,分時酸素摂取量,分時換気量等の各データを取得した.走行速度の変化と車椅子の前後方向の加速度,体幹の左右軸周りの角速度,心拍数,分時酸素摂取量の変化の間には高い相関関係が認められた.また,実際の車椅子上での身体運動の測定に加え,肥満等の健康問題を抱える車椅子スポーツ実施者の実態把握やそれらの栄養状況の評価は重要であり,初年度に引き続き栄養摂取に関するデータ解析も行った。 これらの結果から車椅子ユーザーの運動中の身体活動量計測は彼らの健康増進のための基礎的データとなり,運動処方にも役立ちうることが明確になった。3年目は加速度データと心拍数データ,さらには運動中の代謝を計測する呼気ガス分析器から得られたデータから,スポーツ用車椅子を用いたスポーツ活動中のエネルギー消費量推定を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2台の9軸モーションセンサー,心拍計,呼気ガス分析装置の同時計測により,これまで被験者15名分のデータを取得した.しかし,複数機器の同時計測で予期せぬ機器の不具合などもあり,再実験を余儀なくされるケースが出ているため,予定より時間がかかっていることがあげられる. また,健康状態を評価するための基礎的データ解析であるメディカルチェックや栄養状況調査,褥瘡の評価等に時間を要したことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるので,上半期のうちに追加データの取得を進め,下半期はそれらのデータを処理し,車椅子を使用したスポーツ活動中のエネルギー消費量推定を進めていく。取得した加速度データと年齢、性別、体重、身長,体脂肪率,障がい部位(対麻痺レベルなど)との関連を検討し、より精度の高いエネルギー消費量推定式を導く。 得られた成果については,学会発表や論文発表を通して広く公開に努めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金の拠出が予定額を下回った理由としては,測定システムのセットアップに時間がかかったため,予定していた被験者数に達せず,用意していた数名分の謝金とデータサンプリング・解析の協力者への人件費が残っていること,があげられる.
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度は目標の被験者数に向けて募集を継続し,実験を進めていく予定であるので,実験に協力してくださる被験者の方への謝金,ならびにデータサンプリングや解析に協力していただく方への人件費を拠出する予定である.
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