研究課題
本研究では,高齢者の歩行能力に関する新たな評価の視点として,「身体に関する感覚入力情報が変化しても,それに瞬時に適応し,環境に即した最適な歩行パターンを選択できる能力」について着目している。実験では,狭い隙間を通過する際の体幹回旋行動の測定を行っている。昨年度の研究では,少なくとも認知症の疑いがなく,歩行機能が一般的高齢者よりも高い高齢者の場合には,環境に即した歩行パターンを適応的に選択できることが分かった。本年度は,「隙間を通り抜ける際に,できるだけ体幹を回旋しない」という空間的な制約を与えた場合の影響について検討した。65歳以上の高齢者20名(認知症の疑いのある高齢者は除外)を対象として実験を行った。その結果,空間的な制約を与えた場合,たとえ歩行機能が正常であっても,接触頻度が若齢者よりも有意に高くなった。この傾向は特に,歩行機能の測定として利用したTimed Up & Go test(椅子から立ち上がり,3m先のコーンを回って再び椅子に座る課題)の所要時間が長い高齢者ほど,顕著であった。この結果は,高齢者はある程度空間的な安全マージンを確保できる状況においては,安全な行動が実現できる一方で,行動に対して空間的制約が加わった場合には,身体幅と隙間幅の関係に合わせた調節が難しいことを示唆している。 得られた研究成果については,2015年度に国際学会等にて発表し,国際誌に投稿予定である。
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