研究課題/領域番号 |
25560338
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小野 悠介 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60601119)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨格筋 / マイオカイン / 生体恒常性 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,C26大腸がん細胞を皮下に移植後 3週間で体重減少および精巣上体脂肪の萎縮を確認し,がんカヘキシアによる筋萎縮モデルを確立した。骨格筋の筋重量を測定したところ,腓腹筋などの下肢の速筋では有意な筋萎縮を確認した。一方,頭部筋である咀嚼筋は萎縮が見られなかった。既知の筋萎縮関連遺伝子であるMuRF1やAtrogin-1を調べたところ、C26移植により腓腹筋では増加したが、頭部筋では変化しなかった。さらにDNAマイクロアレイにより,網羅的遺伝子発現解析を行った。現在,興味深い遺伝子について定量PCRによりマイクロアレイデータの確認作業を行っている。また,マイオカイン発現の骨格筋の部位特異性を調べるために,C26移植による萎縮感受性の下肢筋と萎縮抵抗性を示す頭部筋の遺伝子発現パターンの比較を行った。今後,さらに解析を進め,生体恒常性の維持に重要なマイオカインの同定を試みたい。 ドキシサイクリンおよびタモキシフェンの組み合わせ投与により,再生不全による筋萎縮を急速に誘導できるACTA1-rtTA;tetO-Cre; Pax7CreERT2; R26RDTAマウスを作製した。全身性に顕著な筋萎縮を引き起こすために,ドキシサイクリンとタモキシフェンの組み合わせ投与量及び投与期間の至適条件を決定した。現在,この筋萎縮モデルを用いて,筋量の減少による生体恒常性への影響を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋萎縮モデルの条件検討がスムースに進み,平成27年度の研究計画を遂行できる体制を整えた。DNAマイクロアレイにより萎縮した骨格筋における遺伝子発現を調べた。興味深い因子への絞り込みを現在行っており,おおむね順調に作業が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後,作製した筋萎縮モデルを用いて,生体恒常性に及ぼす影響を解析していく。さらに生体恒常性の維持に重要なマイオカインを同定するために,網羅的発現解析から得られた結果を吟味し,培養細胞および個体レベルで機能を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度計画で予定していた実験を次年度に行うことになり使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた研究計画に沿って使用する。
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