本研究では,生体恒常性維持における骨格筋の機能について調べた。恒常性破綻モデルとして,がん細胞移植によりがんカヘキシアを誘導したマウスを用いて,筋由来分泌因子の変化に着目し,骨格筋の量あるいは質的変化と生体恒常性との関連を探った。がんカヘキシア状態にあるマウスの萎縮筋において,全身の代謝制御に関わる因子が低下していた。続いて,μ-クリスタリン(Crym)遺伝子欠損マウスを用いて,Crym機能阻害が筋可塑性と生体恒常性に与える影響について調べた。Crymの主要な発現組織は骨格筋であることを確認した。Crym欠損マウスは,運動機能が亢進し,さらに全身性の代謝ストレス負荷に対して抵抗性が見られた。
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