前年度において、運動時間を2週間、半減させたテーパリングによって持久力および骨格筋エネルギー生産系のタンパク含量が維持されることが明らかとなった。しかしながら、先行研究において運動時間は指数関数的に減少させた方が持久力を向上させることが明らかとなっていたことや、比較群が非運動群であったため、脱運動との比較をしていないなどの問題点が存在した。 そこで本年度は、8週齢の雄C57BL/6JJclマウス(n=18)に対し、7週間のトレッドミル運動を負荷した後、運動継続群、運動時間を指数関数的に減少させたテーパリング群および脱運動群に群分けを行った(各n=6)。テーパリングの運動時間は、先行研究を参考に運動継続群の50%とした。2週間後、トレッドミルを用いて疲労困憊に至る運動継続時間を測定した後、解剖して腓腹筋におけるエネルギー生産系のタンパク含量をウエスタンブロット法にて解析した。 実験の結果、運動継続時間は運動継続群とテーパリング群と比較して、脱運動群において有意に低い値を示した(p>0.05)。また、骨格筋ヘキソキナーゼ含量、シトクロムオキシダーゼⅠおよびⅣ含量が運動継続時間と正の相関関係を示した(p>0.05)。 これらの結果から、運動時間を指数関数的に減少させた場合においても、テーパリングは脱運動と比較して持久力を維持できることが明らかとなった。また、骨格筋における解糖系および電子伝達系のタンパク含量が持久力と関係することが明らかとなった。
|