研究課題
挑戦的萌芽研究
日常生活の中で実践可能な様々な健康法が提案されている。その想定される効果メカニズムとして、心と身体の関係を調整するものと、心と社会の関係を調整するものがある。その科学的理解のため、自己認識の神経基盤研究に関わる応募者の研究を発展させる。研究期間内に機能的MRIを用いて以下2つの健康法の効果メカニズムを解明する。(1)心と身体の関係を調整する健康法として呼吸法・精神集中法を取り上げ、深い呼吸と特定の身体部位への意識集中の効果を検討する。(2)心と社会の関係を調整する健康法として写真療法を取り上げ、自分の価値観に基づいた主体的な意思決定の効果を検討する。それぞれ自己身体認知及び社会的自己認知の神経基盤の関与が予想され、その機能調整として健康法の効果メカニズムが説明可能になると期待する。25年度に両研究課題の実験課題について準備・最適化を行い、機能的MRIを用いた脳活動計測実験とデータの解析を行った。(1)呼吸法・精神集中法の熟達者と未経験者(群間で年齢・性別を統制)各10名にMRI装置のベッドに横たわらせ、身体部位への意識集中を行わせた。「呼吸」要因(「深い呼吸」vs.「通常呼吸」)と「集中」要因(特定の身体部位への意識「集中あり」vs.「集中なし」)の相互作用(「深い呼吸セッション」における「集中ありブロック」に特徴的な脳活動)を分析したところ、熟達者と未経験者で共通の賦活が右島皮質に、また後者で特異的な賦活が右縁上回と運動関連皮質に見られた。(2)健常大学生被験者40名にMRI装置内でGoogle MapsのStreet Viewを用いて都市(訪れたことのない海外の街)のバーチャル散歩を行わせ、PCのスナップショット機能を用いたバーチャル写真撮影を行わせた。「探索」要因(バーチャル都市内の散歩経路:「自由」vs.「規定」)と抑うつ気分改善効果の正相関が右島皮質に見られた。
1: 当初の計画以上に進展している
平成25年度は両研究課題の実験課題について準備・最適化で手一杯の見込みであったが、予想以上に順調に進行し、すでに機能的MRIを用いた脳活動計測実験とデータの解析の一部が完了している。
今後さらに詳細なデータ解析を行うとともに、研究成果の学会発表・論文執筆を行う。
誤差範囲と考える。特に使用計画を変更する必要はない程度の額と考える。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Front Hum Neurosci
巻: 7 ページ: 535
10.3389/fnhum.2013.00535
Soc Cogn Affect Neurosci.
巻: Epub ahead of print ページ: in press
10.1093/scan/nst119