研究課題
日常生活の中で実践可能な様々な健康法が提案されている。その想定される効果メカニズムとして、心と身体の関係を調整するものと、心と社会の関係を調整するものがある。その科学的理解のため、自己認識の神経基盤研究に関わる応募者の研究を発展させる。研究期間内にfMRIを用いて2つの健康法の効果メカニズムを解明する。(1)心と身体の関係を調整する健康法として呼吸法・精神集中法を取り上げ、深い呼吸と特定の身体部位への意識集中の効果を検討する。(2)心と社会の関係を調整する健康法として写真療法を取り上げ、自分の価値観に基づいた主体的な意思決定の効果を検討する。それぞれ自己身体認知及び社会的自己認知の神経基盤の関与が予想され、その機能調整として健康法の効果メカニズムが説明可能になると期待する。平成25年度に両研究課題のについて次の課題を用いて機能的MRI実験を実施した。平成26年度はfMRI実験データの詳細な解析を行った。その結果(1)深い呼吸中に特定の身体部位(丹田)へ意識を集中した効果が島皮質で見られ、その効率(他の領域の賦活の低さ)は呼吸法熟練者で高かった。 (2)自分の価値観に基づいた主体的な意思決定が課題実施前後で心理的にポジティブな効果を持つ場合は、課題実施中に右島皮質の活動が高かった。これらの結果から健康法の効果メカニズムとして、心と身体の関係を調整するものであっても、心と社会の関係を調整するものであっても、右島皮質の関与が鍵となる可能性が示された。すでに(1)に関連して3本の論文が一流国際学術誌に掲載された他、この結果を反映させた英語総論1本も出版済みである。
1: 当初の計画以上に進展している
3本の論文が一流国際学術誌に掲載された。
(2)の研究成果について論文執筆を進める。
端数である。特段の理由はない。
データ追加・解析・成果発表に関わる旅費・資料・消耗品・調査費用等
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
Cerebral Cortex
巻: 印刷中 ページ: 未定
10.1093/cercor/bhu077
Journal of Behavioral and Brain Science
巻: 5 ページ: 12-23
10.4236/jbbs.2015.51002
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10.1155/2014/679509