研究課題/領域番号 |
25560355
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
豊島 裕子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70328342)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自律神経 / 機能性腸障害 / 音楽演奏 |
研究概要 |
音楽大学在学中、同大学院在学中の被験者16人を対象に、モーツァルトEine Kleine Nachatmusik4楽章と、Divertimento3楽章演奏中の呼吸数、心拍数、心電図RR間隔周波数解析から求めた交感神経機能LF/HF、副交感神経機能HFを測定した。 演奏中の呼吸数は、演奏者全員で30/分程度で、演奏の間の休憩時間には被験者固有の呼吸数に復した。同様の現象は、心拍数、副交感神経機能HFにおいても確認された。交感神経機能LF/HFにおいては確認できなかった。これより、演奏者は、演奏中に呼吸数でリズムを合わせて合奏していることが示唆された。随意的に調節された呼吸数が、脳幹呼吸中枢から循環中枢に呼吸数の情報を伝えることで心拍数が、半随意的に調節されていることが示唆された。また、循環中枢から心臓ペースメーカに至る情報の経路は副交感神経神経であることが予想された。曲の速さ、拍子などのカテゴリー差はこの現象に影響しなかった。 以上より他者と息の合った演奏をすることで、その呼吸リズムを基礎としたリズムを副交感神経に支配されている臓器に伝えることが可能であることが分かった。つまり、楽器演奏のように他者と呼吸リズムを合わせる行為を行うことで、自律的に調節されている内臓に、何らかの随意的調節を加えることが可能になると考える。 この現象は、自律神経機能不全がもたらす神経因性膀胱、過敏性大腸症候群、気管支喘息、胃十二指腸潰瘍などの内臓障害の治療に応用可能と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の目的を十分に理解し、専門的な知識によるアドバイスも提供してくれる被験者と出会うことができ、予想以上の明確な結果を得ることができた。 使用した機材も、研究の目的に十分な情報を与えてくれるもので、被験者に与える負荷も最小限で、良い結果につながったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、研究の最終年度である。以下の2項目を研究の目標としてあげる。 (1) 平成25年度に行った研究と同様の研究を、被験者数をさらに増やし、課題負荷時間も長くして再度行い、研究結果の裏付けを行いたい。また、研究結果の雑誌投稿のための論文作成も行う予定である。 (2) 臨床応用の開始。研究申請時のテーマである神経因性膀胱、過敏性大腸症候群に対する音楽演奏の効果を検討したい。平成25年度の研究結果より、楽器自体の演奏より呼吸を合わせることに意義がある印象もあり、楽器演奏のほかに他の手段で呼吸数を合わせる方法なども検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた被験者に対する負担軽減費が、被験者人数の現象で、減額されたため。 平成26年度、消耗品購入に使用する予定である。
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