本研究は、携帯ゲームの音楽演奏ゲームプレー中の学生において、心拍数が同期する現象が確認されたため、音楽演奏には、自律神経機能を修飾する効果が有ると考え行った者である。初めに音楽大学大学院生、音楽大学生を対象に、弦楽器合奏中の自律神経機能を測定した。 大学院生において、弦楽器合奏中に、合奏者同士で呼吸数・心拍数の同期を認めた。大学生においては、明確な動機を認める群と認めない群が存在した。呼吸は、随意的に調節できる機能であることから、楽器演奏中に呼吸数を随意的に調節する事から間接的に心拍数が調節されると考えた。この現象は、楽器演奏の熟練者において著明に表れることが示唆された。 さらに、本年度は、さまざまなリズムを一般人に聞かせることで、リズムによって同期が起きやすい場合と、起きにくい事が有ることを確認した。つまり、音楽を演奏あるいは鑑賞することで、自律神経機能を修飾することは可能であるが、その効果は音楽演奏に十分に熟練するか、鑑賞している音楽が日常的に聞きなれた物である場合、十分に表れることが示唆された。 今回の研究結果より、自律神経機能障害を背景とするさまざまな疾患において、音楽演奏、音楽鑑賞を補助的に治療に応用することが可能ではないかと考えた。これまでも、音楽鑑賞が、パーキンソン病患者の歩行を改善する等の報告があり、申請者は今回の結果をさらに発展させ臨床応用に向けて研究したいと考えている。
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