研究課題/領域番号 |
25560357
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
荒尾 孝 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00409707)
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研究分担者 |
稲山 貴代 首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (50203211)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 健康格差 / 身体活動 / 食行動 / ヘルスリテラシー / 社会経済的地位 |
研究実績の概要 |
平成26年度は1)社会経済的地位から健康障害の危険因子である健康行動(運動・食生活)に至るプロセスを明らかにし、2)その結果に基づき、社会経済的地位の低い集団を対象とした健康格差是正プログラムを作成することを目的とした。 まず、社会経済的地位が低い集団の健康行動促進に効果的なプログラムの開発に向けて、近年注目されるヘルスリテラシーに着目し、昨年度実施したインターネット調査で取得したデータを用い追加解析を行った。調査対象者は30-59歳の成人3,269人(男性:50.1%)である。ヘルスリテラシーはIshikawaら(2008)の尺度を用い評価した。目的変数を身体活動実施状況(週150分以上・未満)および野菜摂取状況(350g程度の野菜摂取・未摂取)、説明変数をヘルスリテラシー(高HL、低HL)とし、世帯年収(300万円未満、300万円-700万円、700万円以上)で層別し、ロジスティック回帰分析を行った。その結果、全ての世帯所得層において、ヘルスリテラシーは身体活動実施状況および野菜摂取状況と正の関連があることがわかった。したがって、身体活動と野菜摂取行動に関するヘルスリテラシーの向上に焦点を当てた教材を開発することは、低世帯所得を重点対象者とした健康格差是正プログラムになり得ることが明らかとなった。 次に、ヘルスリテラシー向上に焦点を当てた健康教育プログラムを開発した。具体的には、低所得層のみならず、健康課題を多く有する中年期の勤労者へのプログラム普及を視野に入れ、インターネットを用いた介入プログラムの開発を行った。本プログラムは、対象者の身体活動と食生活に関するヘルスリテラシーの向上を目的としていおり、1回5分程度のプログラム教材を約2ヶ月間で全10回(身体活動分野5回・食生活分野5回)インターネット上で閲覧するシステムとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、交付申請書に記載した研究目的である以下の二つについて実施した。 1)社会経済的地位から健康障害の危険因子である健康行動(運動・食生活)に至るプロセスを明らかにする。約3000人を対象とした調査データから、全ての世帯所得層においてヘルスリテラシーは身体活動実施状況および野菜摂取状況と正の関連があることがわかった。 2)社会経済的地位の低い集団を対象とした健康格差是正プログラムを作成する。上記のデータ解析により得られた結果を踏まえた、対象者の身体活動と食生活に関するヘルスリテラシーの向上を目的とした介入プログラムを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、介入のためのインターネットシステムの開発とシステムによる介入を実施し、当プログラムのプライマリーアウトカムとしての身体活動および食生活に関するヘルスリテラシーに対する効果とセカンダリーアウトカムとしてのそれぞれの行動に対する効果を検証する。さらに、研究最終年度となることから、自治体の地域保健事業において活用できる内容と方法になるように最終的なプログラムの改善を行う。
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