研究実績の概要 |
本研究ではデータ包絡分析法(DEA)を応用した個人疾患リスクモデルの構築により、これら課題を解決し、個別化予防医療の早期実用化に挑戦するものである。 高畠ゲノムコホート研究、研究協力者約1,500人のベースライン時の臨床疫学データを取得し、このデータを使用して、インプットとして一日当たりの摂取カロリー(逆数として扱う)及び運動量(kcal換算)、アウトプットとしてBody Mass Index (BMI)(逆数として扱う)を設定したDEA解析を実行した。その結果、個人毎の体質を表す合成効率値の算出が可能であることを確認した。 さらには、DEA解析によって算出された効率性データが、outputであるBMIと相関することや肥満関連遺伝子FTOのSNPのvariationに関係することも確認した。これにより、このDEAモデルが、肥満予防のために適応でできる可能性があることが明らかになった。次に、genome-wide association studyによって得た網羅的SNP情報から肥満関連のSNP情報のみを抜き出し、リスクスコア化した。そのスコアとDEAによって計算された効率性データも用いて、肥満のリスクモデルを検討したところ、SNPによるリスクスコアとDEAによるリスクスコアの両方をいれたリスクモデルが最も肥満の発症を予測できることを示した。 最終年度は上記で得たノウハウを使い、高血圧、糖尿病、高脂血症についてリスクモデルの評価を進めた。これらの疾患では肥満場合とは違い、報告されている有望なSNPsによるリスクスコアモデルがないため、ゲノム情報は含まないリスクモデルの検討になった。結果、高血圧、高脂血症では、有望なリスクモデルを得ることができた。肥満の場合も含めて、今後実用化に向けては、異なるコホートデータセットでの検証が必要であり、そのための研究計画を立案した。
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