研究課題/領域番号 |
25560364
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
江口 清 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00213538)
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研究分担者 |
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
岡本 嘉一 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90420083)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 肥満関連肝疾患 / 肝臓 / 骨格筋 / MRI / 超音波 |
研究概要 |
国民的レベルで健康意識が高まりつつある中、生活習慣病は注目を集めている疾患である。しかし、その病態生理に関しては依然不明な点が多い。本申請者はこの原因をこれまでの研究が、特定の臓器のみに着目した縦断的な研究にとどまっていたためであると考えている。本申請者は、マルチモダリティ(MRI, 超音波)を用いて複数の生体機能情報を同時期に測定・解析し、血液や身体データといった血液生化学データと比較することによって、生体内の代謝機能を肝-骨格筋臓器連関という観点で捉え、生活習慣病における病態生理を解明することを目的に研究を進めている。平成25年度は、肝臓および骨格筋において、安定的かつ正確にMRIデータ(MR spectroscopy、MR perfusion、MR diffusion)と超音波データ(硬度、脂肪量)を取得するための撮像パラメータを最適化に成功した。さらに、最適化した撮像パラメータにより、健常ボランティアの「MRI、超音波、血液および身体データ」を取得してライブラリ化した。測定および解析したデータは、下記の通りである。 (MRI)MR spectroscopy:骨格筋の細胞内脂肪(IMCL)および細胞外脂肪(EMCL)、肝臓内脂肪/MR diffusion:骨格筋の拡散固有値(拡散係数、拡散異方性)/MR perfusion:骨格筋および肝臓の微小循環 (超音波)Fibroscan:肝臓の硬度/Controlled Attenuation Parameter(CAP):肝臓内脂肪 (血液)・(身体):肝機能検査、筋酵素、血糖値、インスリン値、脂質、遊離脂肪酸、脂肪酸組成/身長、体重、体組成(筋肉量、脂肪量) 平成25年度の研究により、撮像パラメータの最適化と健常ボランティアデータのライブラリ化に成功した。この成果は、疾患群と比較する際の基礎データとなるため、その意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を実施するにあたっては、測定原理的に高磁場MRI装置を使用することが極めて有利である。当施設は、臨床機として国内最高磁場の3 Tesla MRI装置を備えており、本研究のために使用することが可能であった。 本申請者並びに研究分担者は、肝臓と骨格筋を対象に、2007年よりMRI(MR spectroscopy、MR perfusion、MR diffusion)および超音波に関する技術的・臨床的研究を進め、その蓄積した知識と手法を本研究にも十分活用することができた。 以上の理由により、本研究は申請通りに順調に進捗していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の対象数は、健常ボランティア、肥満者、慢性肝疾患患者、それぞれ50名(計150名)を目標にしている。当初計画通り、平成26年度も平成25年度に引き続き、データ取得を実施する。 これに加えて最終年度である平成26年度は、本手法の治療効果判定への応用を目指す。 本検討は、内科医と密接に連携して進める。食事療法と運動療法を要する肥満者および慢性肝疾患患者を対象とし、これらの治療期間にMRI・超音波・身体・血液データを取得する。患者の選定および食事療法の内容に関しては、研究分担者の内科医が中心となり、運動療法の内容に関しては、専門家である本申請者が中心となって決定する。採取したデータから、前年度までに得られたデータに基づき、治療前後の変化(治療効果)に関して評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めるうえで必要な備品や消耗品を、計画額よりも低いコストで得られたことが主な理由である。また、臨床業務の調整が上手くいかず、情報収集のために予定していた学会へ参加できない事態になったことも理由の1つである。 物品費(180千円):MRSおよびDTIのより詳細な解析を行う目的で解析ソフトを最新版へのアップグレードを行う。/旅 費(550千円):国内学会および国外学会で研究成果発表と情報収集のための学会への参加に使用する。/人件費・謝金(300千円):MRIや超音波データの取得・解析にあたっては、専門的知識と技術が必要となるため、知識提供および技術指導へ謝金として使用する。また、健常ボラティアへの謝金にも使用する。/その他(300千円):論文校閲、資料収集、通信費などに使用する。 上記で総額1330千円となる。直接経費として11410円の残額になるが、これは消耗品に充てる。以上の直接経費に間接経費360千円を加え、平成26年度の研究を進める。
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