研究課題
夜勤を伴う交代制勤務に従事する看護師または介護士13名を対象として日常生活時の身体活動、自律神経活動、睡眠、食事等に関するモニタリングを日勤日に実施した。モニタリングは小型で携帯性に優れた機器(加速度センサー、心拍計)を用いて実施した。具体的には、腰に装着する加速度センサーを用いて身体活動と睡眠-覚醒リズムを、また24時間心拍計を用いて心電図波形を記録した。さらに波形のR波の時間間隔時系列データについてスペクトル解析等を用いて解析し、心臓自律神経調節系機能を評価した。その結果、副交感神経活動と交感神経活動に関する指標の日周リズムの位相の遅れの程度には、朝食摂取の時間帯が遅いこと、夕食の摂取エネルギー割合が多いこと、1日の摂取エネルギーが多いこと、が関連することが示唆された。また、健常成人11名を対象として、食事時刻を遅らせる(2~4時間)ことが抑うつ気分に及ぼす影響を日常生活下で検討した。各対象者について、通常の食事時刻の期間(1週間)と食事時刻を遅らせた期間(1週間)で気分と身体症状(抑うつ、不安、心理的ストレス、疲労、眠気)を1日5回記録した。その結果、不安気分のレベルについて、食事時刻を遅らせた場合、有意に高くなることが認められた。さらに、神奈川県内の医療機関に勤務する看護師5536名を対象とし、勤務形態、抑うつレベル、概日リズムの位相との関連が示唆されている生活時間帯の嗜好性(朝型―夜型質問紙)、朝食摂取頻度等を調べた。その結果、交代制勤務者の抑うつレベルが日勤者と比較して増加する背景には、日勤時の朝食摂取頻度の減少や夜更かし朝寝坊といった夜型の生活習慣が関与している可能性が示唆された。これらの結果から、体内時計の位相前進作用があると示唆されている時間帯に合わせた食事習慣が、交代制勤務者の心身の健康保持増進に有効である可能性が示唆された。
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PLoS ONE
巻: 9 ページ: e106643
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