本研究課題は一過性の筋疲労および慢性的な筋疲労(感)によって超音波エコーの画像テクスチャ(模様、濃淡やその規則性)の変化に法則性が存在するかを探ることを目的としている。平成26年度は、慢性的な筋疲労(感)として肩こりを対象とし、画像テクスチャの特徴量が肩こりの有無によって異なるかを検討した。 30歳代から70歳代までの成人男女154名(男性84名、女性70名)を対象とした。日常の肩こり(右側)の愁訴の程度を4段階(こっていない、ややこっている、こっている、非常にこっている)にて回答させた。また、僧帽筋右部(第七頚椎と肩峰点の中点)の超音波エコー画像(Bモード方式)を撮影した。超音波エコー画像から僧帽筋の厚みを計測し、その僧帽筋の中央部正方形(75×75ピクセル)の画像に対してテクスチャ解析を行った。画像テクスチャの解析においては濃度ヒストグラム法、濃度差分レベル法、空間濃度レベル依存法を用いた。 肩こりの愁訴はこっていない(89名、57.8%)、ややこっている(38名、24.7%)、こっている(13名、8.4%)、非常にこっている(14名、9.1%)であった。男性より女性の方が肩こりの愁訴の程度が高かった。 年齢の影響を除外するために60~70歳代を対象として画像テクスチャ解析を行った。肩こりの愁訴の有無で比較すると、女性においては、愁訴有群は愁訴無群に比べて僧帽筋の筋厚が薄い傾向がみられた。ただし、男性においてはそのような関係性は認められなかった。画像テクスチャ特徴量を肩こりの愁訴の有無で比較すると、いくつかの特徴量において差がみられたが、肩こりの愁訴と密接に関係する特徴量を特定するには至らなかった。今後は、さらに対象者を増やすとともに、テクスチャ特徴量の解析の仕方などを工夫し、肩こりの愁訴と関係する特徴量を検討していく予定である。
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