研究課題/領域番号 |
25560370
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 豪一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (10167497)
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研究分担者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 助教 (00454918)
矢島 潤平 別府大学, 文学部, 准教授 (30342421)
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
小池 城司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90325522)
加藤 有一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 助教 (90363689)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ストレス / 心理社会的要因 / アロスタティック負荷 / 指動脈弾力指数 / 血管内皮機能 / 生活習慣病 |
研究概要 |
本研究では,慢性的に蓄積した生体内のストレス状態を評価するためのアロスタティック負荷概念を採用し、その医学的基準測度として簡易血管健康検査法を応用した新しいストレス-健康研究パラダイムを提案する。 基礎研究(サブテーマ1):過年度に採取した青年男子370名の資料を再分析した結果,独自に開発した指動脈弾力性指数(FEI)とスティフネス指数(FSI)は,23歳以上の群では血液検査関連指標を含むアロスタティック負荷指数と有意な相関関係を示した。次に,糖尿病および高血圧患者103名の協力を得て,血管内皮機能検査の標準法であるFMD法およびEndo-PAT法とFEIおよび指血管拡張能検査(FCR法)を同時に実施した。Endo-PAT法の内皮機能評価指標であるLRHI比を従属変数とした重回帰分析によれば,FCR法コンプライアンス比(CI比),拡張期血圧,および血液量最大増加比が有意な説明変数であり,重相関係数R=0.72(調整済みR二乗=0.51)であった。すなわち,LRHIは動脈の弛緩,および,血管抵抗の低下(血管拡張)を伴う血圧低下を総合的に反映することが示された。また同時に,高い重相関係数が認められたことから,FCR法は既存Endo-PAT法の代替検査として使用できることが分かった。また,健常青年女子39例と糖尿病患者49例の判別分析を実施した結果,2群の判別関数の平均適中率はFCR法 CI比単独の場合は76.1%,指平均血圧,指動脈弾力指数(FEI),CI比の組み合わせでは,95.5%であった。 応用研究(サブテーマ3):FEIとFCR法に兼用できる検査機を1台作成した。別府大学では老人介護施設で働く健常な介護職員70名の検査を実施し(男性23名:年齢平均±SD=44.2±15.0歳,女性47名:年齢平均±SD=39.2±12.7歳),広い年齢幅の健常成人データを蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「概要」の基礎研究に基づき,慢性蓄積ストレスを表すアロスタティック負荷の査定法として,血液検査関連指標を用いない簡易査定法としてFEIおよびFCRを採用する方針に変更した。しかし,後者のFCR法の妥当性を担保する必要があり,サブテーマ1ではEndo-PAT法との同時測定によって,同法の医学的評価を実施した。そのため,副交感神経活動指標の脈波法圧反射感度(pwBRS)の関連性を分析する計画は次年度に持ち越した。 さらに,サブテーマ2から4までを遂行するために検査装置を1台製作したが,完成時期が遅れたために,サブテーマ3のデータ収集を行っただけで,サブテーマ2と4は実施準備の段階にとどまり,次年度に持ち越した。
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今後の研究の推進方策 |
計画当初の目的を達成するために,遅れていた研究計画を実施する。サブテーマ1ではFEIおよびFCR法と副交感神経活動指標の脈波法圧反射感度(pwBRS)の関連性を,健常青年40例で分析する。サブテーマ2および4では,26年度前半に当初計画の調査(それぞれ40例以上)を実施する。サブテーマ3ではすでに70例の測定を実施済みだが,再検査として70例の測定を26年度後半に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者1名に配分した旅費12万円が未使用なのは,検査装置の製作時期が遅れたため,当該分担者の所属機関でのデータ収集を来年度に延期した。その他の未使用分は残額が少額のため。 前年度研究分担者1名の未使用分は26年度に改めて配分して,2年分の配分を合わせて使用し,当初予定の研究を完了する。残りの少額の残額は,必要な物品などの購入にあてる。
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