研究課題
本研究では,慢性的に蓄積した生体内のストレス状態を評価するためのアロスタティック負荷(AL)概念を採用し、その医学的基準測度として簡易血管健康検査法を応用した新しいストレス-健康研究パラダイムを提案する。サブテーマ1・2:平成25年度の基礎研究に基づき,慢性蓄積ストレスを表すALの査定法として,血液検査関連指標を用いない簡易査定法としてFEIおよびFCRを採用した。FEIおよびFCRの動脈硬化測度としての妥当性は、糖尿病および高血圧患者103名の協力を得て、Endo-PAT法との高い一致性により確かめ、FCR法は医学的標準のEndo-PAT法の代替検査として使用できることを確かめた。次に、人格要因とAL、血管健康の関係を健常青年女子41名(札幌医科大学)および健常青年男女37名(久留米大学)で調べた結果、怒りと敵意性(BAQ)、抑うつ(CES-D)、コヒアレンス感尺度(SOC)とFCR比に有意な相関を認め、怒りっぽく短気、抑うつ性が高い、また、肯定的人格特性のSOCが低い健常者では内皮機能が抑制されることを明らかにした。サブテーマ3:別府大学では老人介護施設で働く健常な介護職員57名の検査を実施し(男性19名:年齢平均±SD=45±15歳,女性38名:年齢平均±SD=40±13歳),広い年齢幅の健常成人データを蓄積した。FEIはBMIと有意な負相関(年齢・性・指血圧・喫煙を制御した偏相関)を示し、肥満により指動脈スティフネスが増すと示唆された。以上の知見から、慢性ストレスにより血管の健康は低下し、特にFCR法は心理社会的要因に修飾されるALの簡易査定法として有用なことが結論づけられる。今後は、FCRの査定プロトコルと検査装置の改良により、健康科学研究への広い応用を試みる橋渡し研究へと発展させる計画である。
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