本研究の目的は,易転倒高齢者における立位時の条件変化に対する姿勢制御の適応能力とその日内変動について検討することであった.次のことが明らかとなった:①高齢者は青年に比べ,条件変化(本研究では視覚入力の変化:開眼から閉眼へ)に伴う立位姿勢制御の適応能力に乏しかった.②易転倒高齢者は,起床直後や一日の疲労が蓄積してくる夕方以降,静的立位姿勢の安定性に乏しくなった.③易転倒高齢者は視覚入力の変化に伴う立位姿勢制御の適応能力が低転倒リスク高齢者の平均に比して乏しく,それはCOP動揺の長さや速度ではなく面積で捉え得る.④易転倒高齢者における視覚入力の変化に対する適応能力水準は日内変動を示す可能性がある.
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