研究課題/領域番号 |
25560372
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡崎 和伸 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (70447754)
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研究分担者 |
横山 久代 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (10647829)
宮側 敏明 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 教授 (40067252)
今井 大喜 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 講師 (40614483)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 体温調節能 / 生活習慣病 / 環境生理学 |
研究概要 |
インスリン抵抗性の高い被検者では、インスリンによる体温調節応答亢進作用が小さいかどうかを検証する研究(研究1)を実施した。 若年健常者14名(平均年齢:23.4歳)を被検者とした。全ての被検者において、インスリンによる体温調節応答亢進、および、インスリン抵抗性指標を測定した。食道温および皮膚温、胸部および前腕部の皮膚血管コンダクタンス(皮膚血流量/平均血圧)と局所発汗量、心拍数、血圧を連続測定した。インスリンによる体温調節応答亢進は、経口グルコース摂取(GLU)およびフルクトース摂取(FRU)の2試行(ランダム化)において人工気象室(気温28℃、湿度40%)における椅座位安静時に60分間の下肢温浴による受動加温(42℃の循環水に両下腿の腓骨頭下を浸水)時の体温調節応答(発汗および皮膚血管拡張開始の食道温閾値)を測定し、インスリン上昇度(GLU試行-FRU試行)に対する体温調節応答の亢進度(発汗開始の食道温閾値のFRU試行に対するGLU試行での低下度)で評価した。インスリン抵抗性指標は、空腹安静時の血中インスリン濃度に対する血中グルコース濃度(HOMA-IR)を用いて評価した。 その結果、インスリン上昇度に対する体温調節応答の亢進度(前腕部発汗開始の食道温閾値)は、HOMA-IRと有意な正の相関関係を示した。つまり、インスリン抵抗性の高い被検者では、インスリンによる体温調節応答亢進作用が小さいことを示す結果を得た。この結果は、インスリンによる体温調節応答の亢進はインスリン抵抗性(感受性)と関係するという本研究の仮説を支持する。本研究から、インスリン抵抗性の高い(感受性の低い)肥満者や高齢者において熱中症発症率が高い原因の一端が明らかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に沿って研究を遂行し、当初の研究目的を概ね達成した。得られた研究成果から、「インスリンによる体温調節応答の亢進はインスリン抵抗性(感受性)と関係する」という、本研究の仮説を支持する結果を得た。 以上、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究実施計画に沿って研究を遂行する。 次年度は、研究1の予定数を達成すると共に、正常血糖-インスリンクランプ法を用いて、「高インスリン時には低インスリン時に比べて体温調節応答が亢進する」という仮説を検証する研究(研究2)を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究実施計画に沿って研究を遂行し当初の研究目的を概ね達成したが、研究1において予定した被検者数(16名予定)を一部完了しなかった(14名実施)。そのため、それに関する人件費および備品費に次年度使用額が生じた。 次年度使用額分を研究1の完了のための人件費および備品費に使用する。翌年度分として申請した助成金は、当初の実験実施計画に沿って研究2の遂行に使用する。
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